LINEは9月28日、エンジニア向け技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2017」を開催した。参加した国内外のエンジニア約1000人に向けて、LINEが展開するさまざまなサービスと最新技術動向が紹介された。本稿では、上級執行役員CTO 朴イビン氏によるオープニングセッションの内容をお伝えする。
月間1億7000万AUに使われるLINE
朴氏は講演でまず、昨今のメッセージングアプリ「LINE」の成長ぶりについて、こう切り出した。
「LINEは現在、1億7000万のマンスリーアクティブユーザー(MAU)、そこでやりとりされているメッセージは250億を超えるほど大きく成長しています。年末年始のピーク時には毎秒42万件のメッセージがやりとりされたこともあります」
1日にやりとりされるAPIリエクストは800億件、イベントレコードは1日1500億件に及ぶ。分析や統計解析などに使われるログだけでも、40PBにも達しているという。
「このような数値は、われわれにとって常にチャレンジを求めるものです。そのため、開発拠点を増やして対応していきます。すでに、東京、福岡、ソウル、大連、台北という5つの開発拠点がありますが、今年は、タイのバンコク、ベトナムのハノイ、インドネシアのジャカルタに開発拠点を新設します。さらに日本でも来春をめどに京都ブランチをオープンする予定です」
Open APIを推進して強固なエコシステムを構築
LINEの成長にともなって他のサービスも大きく成長している。LINE NEWSのMAUは6000万ユーザーに達し、台湾、タイ、インドネシアで展開しているニュースサービスLINE TODAYのMAUは1億ユーザー、PVは50億を超えるまでに成長した。
また、LINEの配信サービス、LINE LIVEのMAUは2800万を記録し、タイ、台湾で展開しているストリーミングサービスLINE TVは1400万ダウンロードと大きく成長。今年の夏には、欧州メディアとのパートナーシップのもと、ドイツでLINE LIVEのサービスを開始した。
決済サービスのLINE PAYも好調だ。グローバルで約3800万、国内3000万の登録ユーザーがおり、今年の5月には、月間の流通総額が約708億円を記録した。海外展開では台湾のように、一部の税金の支払いにLINE PAYが利用できるようになるなど、インフラとしての普及も進んでいるという。
そのうえで朴氏は、LINEのビジネスとテクノロジーのビジョンについて、次のように解説した。
「LINEは、メッセンジャーを中心としたさまざまなサービスとみなさんを連結するスマートポータルの実現を目指しています。そのポータルを支えるためには、テクノロジーの挑戦が欠かせません。現在も、リアルタイムラージスケールプラットフォーム、マルチメディアプラットフォーム、AIプラットフォームの視点から、テクノロジーを高度化させるための挑戦を続けています」
例えば、リアルタイムラージスケールプラットフォームでは、分散処理システムやプライベートクラウド基盤、マルチリージョンでの災害対策などを支える技術などに取り組む。また、マルチメディアプラットフォームでは、メッセージングエクスペリエンスの高度化やARインテグレーション、不正検知、よりセキュアな通信がテーマだ。さらに、AIでは、レコメンデーションプラットフォームや自然言語認識を使った検索プラットフォームを積極的に進めている。
また、スマートポータルを加速するため、Open APIにも力を入れている。昨年の開発者向けイベントではチャットボットを実現するためのメッセージングAPIを発表した。API公開から多くのユースケースが生まれているという。
「これまでに13万件以上のボットアカウントが作成され、20億人のユーザーにつながり、100億以上のメッセージがやりとりされました。OPEN APIを推進するために世界各地でさまざな開発者向けイベントを実施しました。今後もさらに力を入れていきます」