日本企業にも、CDOを置く企業が増えている。CDOとは「Chief Digital/Data Officer」の略称で、企業内におけるデータ活用やデジタル変革を先導する責任者のことを指す。現代では、デジタルデータを経営判断に活用する割合も高くなっている。しかしながら、日本ではまだCDOの職務や必要性については未知な部分も多い。

(左から)Domo ジャパンカントリーマネージャー川崎友和氏、米CDO Club CEO David Mathison氏、CDO Club Japan代表加茂純氏

今回は、米CDO Club CEOのDavid Mathison氏、CDO Club Japan代表の加茂純氏、Domo ジャパンカントリーマネージャーの川崎友和氏に、日本企業が知っておくべきCDO事情を伺った。

組織全体でデータ価値を高める

Mathison氏は冒頭、成功事例として英国政府の取り組みを挙げて、CDOの必要性を説いた。「以前の英国政府では、各部署で個別にWebサイトを開設しており、3400個ものWebサイトがバラバラに運営されている状況でした。その結果、各Webサイトに情報が分散し、使い勝手が悪くなっていました。しかし、CDOが着任してからは、政府に関する情報は『GOV.UK』という1サイトにすべて集約され、弁護士などの力に頼らずとも、Webサイト上で行政手続きを行えるようになりました。これにより、国民の満足度も向上したようです」

また、米国でも行政データ活用のためにCDOを起用する事例が増えているという。「米国の運輸省では、航空機、自動車、タクシー、信号機、輸送システムなどのデータを扱っています。これらのデータ量は非常に膨大なものになります。しかし、従来はそれらのデータを活用できる人がいませんでした。ですが、CDO着任によって、取得するだけで終わっていたデータが、新しいアプリケーションの導入判断などに有効活用されるようになったのです」

米国では2012年にCDO Clubが設立されるなど、数年前からデジタルトランスフォーメーションの一環としてCDOを導入する動きが活発化している。しかし、なぜ最近になって日本企業にCDOタイトルが増えたのだろうか。加納氏によると、最近ではエグゼクティブ層が海外でミーティングした際に、当然のようにCDOが話題に上がるそうだ。データの価値をビジネスに活かしきれていないとCEOや役員が危機感を持ち、トップダウンで任命されるケースが多いという。