F5ネットワークスジャパンは6月14日、佐賀県が、Microsoft Office 365に対するメール同期トラフィックを分離することを目的に「F5 BIG-IP」を導入したと発表した。

行政サービスの充実に向けてICTを積極に活用する佐賀県は、2016年8月、TCO(総所有コスト)削減のため、県庁のメールシステムを「Office 365」へ移行した。だが、移行に伴い、IMAPによるメール同期が大きなトラフィックを生み出すことが課題視されていた。特に、例年4月は新年度に合わせて多くの職員の入れ替えがあり、今年4月も約4分の1の職員の異動に加え、約100名の新規採用者が入庁予定だったため、膨大なトラフィックが発生する可能性があったのだという。

この課題の解決策として、佐賀県はテクマトリックスが提供する「Office 365トラフィック制御サービス」を採用。同サービスは、テクマトリックスが開発したトラフィック制御アプリケーション「o365 traffic controller」と、「テクマクラウド」(MicrosoftからOffice 365アドレスリストを取得し、その内容を解析・加工した上で提供するクラウドサービス)を組み合わせたソリューションで、接続先に応じた経路制御を行う。

今回構築したシステムでは、佐賀県が契約するIDC(インターネットデータセンター)にo365 traffic controllerが稼働するBIG-IPを設置し、庁舎内からのインターネットアクセスをいったんBIG-IPで受け、Office 365向けのものはIDCから出ている回線、そのほかは庁舎内から出ている回線を利用するように振り分ける。

システム構成図

新システムにより、Office 365へのアクセスとその他のインターネットアクセスのトラフィックを分離し、安定したパフォーマンスを実現。今年4月の人事異動の際も、パフォーマンスの問題は発生しなかったという。また、トラフィック制御に必要なFQDNとIPアドレスの情報は、テクマクラウドからo365 traffic controllerへ配信され、それに基づく設定も自動的に行われるため、運用負担の増大も回避することができたとしている。