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5月10日から12日にかけて東京ビッグサイトにて開催された「Japan IT Week 春」。その中で開かれた「IoT/M2M展」のセミナーには、大手携帯キャリア3社のIoT部門のトップが登壇。それぞれが自社のIoT戦略などについて語った。
IoTは「可視化」から「価値化」のフェーズへ - ソフトバンク
最初に登壇したのは、ソフトバンク 法人事業開発本部 事業開発第1統括部 IoTコンサルティング2部の部長、吉田政人氏だ。「ソフトバンクが提案するIoTの世界」と題した同氏の講演では、IoTに関する先進企業の実験的な取組みや、ソフトバンクの取組みと今後について語られた。
「昨年の前半頃は、『IoTとは何だ?』『どういった効果があるのか?』『どういう風に取り組めばいいのか?』とよく尋ねられました。それがわずか半年の間に、『IoT基盤の構築を進めているが、どんな基盤がいいのか?』『どうやって効果を出したらいいのか?』と質問の内容が大きく変わってきました。IoT周辺の動きは非常に速いので、我々も常に答えられるような活動をしなければと肝に銘じているところです」
──開口一番、吉田氏はこう語った。
ソフトバンクでは、IoTを「収集したデータを価値に変えること」と定義しているという。
「これまでは各種センサーなどからデータを収集して可視化するというフェーズでしたが、現在では収集したデータを価値に変えるフェーズに入っています。例えば運送会社であれば、収集したデータを基にトラックの運行状況の可視化から、危険運転車輌の特定、必用台数予測といった分析・予測、さらには最適な運行管理の自動化などが行われています」(吉田氏)
ソフトバンク 法人事業開発本部 事業開発第1統括部 IoTコンサルティング2部 部長 吉田政人氏 |
実際にソフトバンクでも、拡大する基地局のメンテナンスコストを削減すべく、IoTによって故障の予兆を検知して、事前に保守作業を行えるようにすることを目指している。これにより、優秀な技術者が保守以外の仕事にも注力しやすくなるといった効果も期待できる。「保守会社の緊急出動ゼロを目指したい」と吉田氏は語る。
一方、IoT導入がうまくいかない原因として同氏は、以下の項目を挙げた。
- トップダウンによる漠然とした取り組みの指示
- 目標がなくただ既存データありきのスタート
- 社内の合意が得られない
- 技術的課題の存在
このうち技術的な課題については、IoTの技術領域は多岐にわたるため、社内の人間だけで完結するのではなく、社外の人材の積極的な活用が有効だと吉田氏は説明した上で、次のように会場に呼びかけた。
「IoTにおける当社の役割は、顧客の課題を解決することにあります。そのためにも自前主義ではなく、優れたパートナーとのオープンイノベーションをIoTにおいても重視しているのです。IoTの潮流は非常に速く進んでいます。皆さんも『可視化』から『価値化』への移行を目指して取り組んでいってください」
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