コネクテッドカー向けのオープンプラットフォーム共同開発プロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」に関わる自動車システム エンジニアやLinux エキスパート、ビジネス エグゼクティブなどが一堂に会するイベント、Automotive Linux Summit(ALS)が5月31日、東京・お台場で開催された。
イベント会場では、この分野のイノベーションを牽引している開発者コミュニティと、自動車分野のベンダーやユーザーらが積極的に交流した。
ALSでは識者による各種セッションも行われ、キーノートセッションにはAGLのキーパーソンや、各パートナー企業のトップらが登壇した。
AGLには98社が参画、非組込みのITベンダーも
イベントは「Automotive Grade Linux: State of the Alliance」という講演によって幕を開けた。登壇したのは、AGLでExecutive Directorを務めるDan Cauchy氏だ。
開口一番、Cauchy氏はこう力説した。
Automotive Grade LinuxでExecutive Directorを務めるDan Cauchy氏 |
「いまや自動車産業はソフトウェア産業になってきているという事実に多くの人々が気づき始めている。車内で素晴らしい体験をするには、ソフトウェアが決め手になると言われるまでになったのだ。我々はそうしたソフトウェアを、自動車メーカーを含めたあらゆる企業が同じプラットフォーム上で開発できるようにしていくことを目指していきたい」(Cauchy氏)
AGLに参加する自動車メーカーは、2015年にはトヨタやホンダなど4社だったが、今では10社にまで拡大。Cauchy氏は、「彼らのサポートは非常に大きな力となっている」とコメントした。
そしてメンバーシップ企業は世界98社にも及んでおり、メーカー、サプライヤーだけではなく、オラクルやSAPといった主要なIT企業やテレコム企業など、ジャンルも多岐にわたっている。
「これから車に求められるであろう、あらゆるジャンルのテクノロジー企業がAGLに参加してくれている」(Cauchy氏)
AGLに参加する開発者も急増しており、この4ヶ月だけで27%も増加。今年に入ってからのメーリングリストのポストは1,000近くにもなるなど、開発者コミュニティでは活発な議論が繰り広げられている。
2018年新型カムリにAGLプラットフォーム採用
そしてCauchy氏は、トヨタが次世代インフォテインメントシステムにAGLプラットフォームを採用したことをこの場で発表した。
今夏より北米から発売が開始される2018年新型カムリは、AGLベースシステムを搭載して発売される初めてのトヨタ車となるという。
「自動車が有するすべての機能に対してAGLがサポートしていくというのが将来のかたちだと考えているし、未来の車は必ずそうなっていくと確信している。まだメンバーではない企業もすぐに参加してほしい」とCauchy氏は訴えた。