5月24日から26日にかけて、「自治体総合フェア2017」が東京ビッグサイトで開催された。25日には、えひめ結婚支援センターの事務局長、岩丸裕建氏が、「ビッグデータで「出会い」サポートします!-愛媛県におけるIT婚活支援の取り組み-」と題する講演を行った。
同センターでは、登録会員の活動データを分析することで、その人が好みとして選んだ相手だけではなく、潜在的なその人の好みのタイプを紹介したり、逆にその人が好まれるタイプの人を紹介したりするサービスを展開している。講演では、そんなユニークなビッグデータ活用に至った経緯と、その効果について語られた。
急激な人口減少と少子高齢化 - 地方自治体で高まる危機感
えひめ結婚支援センターは、愛媛県の少子化対策事業として2008年に公的に設立された組織。少子化の主たる原因である未婚化・晩婚化に対応するため、独身男女の出会う機会を提供する結婚支援イベントを開催するほか、1対1のお見合い事業として県内各所に「愛結びコーナー」を設置している。また、積極的に県外の独身者へもアプローチし、過疎・離島地域での婚活を働き掛けている。2015年には、講演のテーマである同センターにおける結婚支援へのビッグデータの活用の取り組みが、総務省の「地域情報化大賞 2015」の特別賞を受賞した。
愛媛県では現在、他の多くの自治体と同様に急激な人口減少と少子高齢化が大きな課題となっている。
「つい数年前までは毎年の入学者数が200人前後にも達していた小学校が、今では人数が少なすぎて一学級を編成できないといったケースも見られ、危機感は非常に高まっています」(岩丸氏)
えひめ結婚支援センターの事務局長 岩丸裕建氏 |
人口減少や少子高齢化の原因の1つとして考えられるのが、結婚数の減少だ。県内で結婚が減った理由として岩丸氏は、次の4つを挙げた。
- 適齢期の人口が大幅減
- 職場縁の減少
- お見合い結婚の激減
- 地域コミュニティが減少
また同県では平均初婚年齢が徐々に上昇しており、生涯未婚率も1990年以降急上昇している。一方で、独身者の結婚に対する意識に関しては、時代は変わっても変わっていないという。国の機関が実施した調査によると、「いずれ結婚するつもり」と考える独身者の割合は、この20年間を通して約9割で固定されているのだ。
「晩婚化は、育児と介護の同時進行を強いられるダブルケアにつながりやすいなど、次の世代にも大きな影響を与える可能性があります。自分自身にも子供世代にもリスク要因となりやすいのです」と岩丸氏はコメントした。
えひめ結婚支援センターが進める出会いサポート
これらの社会的課題を背景に、えひめ結婚支援センターでは、結婚支援イベント「de愛(であい)イベント」とお見合い事業「愛結び」を推進している。2008年11月にから実施しているde愛イベントの回数は2016年1月までに1,747回に及び、参加人数は50,000人を超えている。このうちカップルの成立数は約6,800組となっている。また2011年10月にスタートした愛結びの登録者数は累計で約5,000人となっており、2016年1月までの引合(お見合い)数が約5,200組、そしてカップル成立数は約2,400組となる。
「こうした県の結婚支援事業に登録する人のなかには、自分でアグレッシブに相手を見つけようという人はほとんどいません。そういう人ならば、民間の有料サービスを活用して積極的に婚活をするからです。つまり我々は、結婚はしたいもののさまざまな理由から消極的になってしまっている人に対して出会いづくりをサポートしているということになります」(岩丸氏)
実際、センターに登録している独身男性のなかには、離島や工場地帯で暮らしており、日常の中で女性と接する機会が少ないことから、「異性と何を話せばいいのかわからない」と相談してくる男性も多いという。