前回紹介したVivaldiのようなChromiumをベースとしたWebブラウザは世界中に存在している。
そして、それらはVivaldiのように汎用目的で開発されているものもあれば、特定の目的に特化しているものもある。開発方式はいくつかあるが、定期的にリリースされるChromiumの変更点を随時取り込むことでChromiumと同期しつつ、さらに独自部分の開発も進めるというやり方をしているところが多い。
しかし、こうした取り組みが長期に渡って継続するかどうかは別の話だ。Chromiumをベースに独自のWebブラウザを開発するところまではよいが、その後、開発が進み続けるChromiumとの同期を実現し続けるというのは簡単な取り組みではない。
変更部分をマージするだけでも大変だし、その変更がオリジナルの開発部分に影響を及ぼす場合にはその対応も必要になる。ChromiumベースのWebブラウザの本当の大変さは、継続して最新版にアップデートし続ける作業にある。
そこで注目しておきたいのが「Kinza」だ。
ChromiumのUI/UXを踏襲し、便利機能を追加する「Kinza」
KinzaはChromiumベースで開発されているWebブラウザだが、Vivaldiとは異なり、KinzaはChromiumのUI/UXを比較的そのまま使っている。独自のUI/UXを追い続けるというよりも、Chromiumに対して便利な機能や設定を追加するといったスタンスが強い。
Kinzaはすでに3年間に渡ってChromiumをベースとした開発を続けてきている。Chromuimのどこをどう変更すれば何を実現できるのかよく知っており、かつ常に最新のChromiumを取り込み続けてきたという事実がある。今後も開発の継続が期待できるWebブラウザだ。
そしてKinzaの最大の特徴は、日本で開発されていること、コミュニティからの要望の多くを開発に取り込む体勢を取っていることにある。企業が主体で開発が進められているWebブラウザは、企業が抱えている技術者や開発チームの意向によって開発が左右される傾向が強いが、Kinzaの場合はユーザからの声を拾うところに重きが置かれている。
日本語で開発されているWebブラウザ
そして重要なポイントは日本語でやりとりができる点にある。こうしたソフトウェアの開発は米国が主体になっていることが多く、コミュニケーションには英語が使われることが少なくない。企業や開発チームとのコミュニケーションにフォーラムやSNSといった何らかのチャンネルが用意されていても、多くの場合、英語は必須という状況にある。
しかしKinzaの場合は日本で開発され、コミュニティも日本語でやりとりしている。意見も日本語で出せる。したがって今後は、日本人が好む姿に進化していく可能性が高い。
Vivaldiとともに知っておきたいWebブラウザだ。