何かの製品をPRする際、顧客との重要な「接点」の1つとなるのが公式Webサイトだ。デザインやUIはもちろん、どういった顧客がターゲットになるのか、そしてカスタマージャーニー(購入に至るまでのプロセス)のなかでサイトがどういった位置付けになるのかを把握しなければ、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を最大化することはできない。
そういった観点から公式Webサイトのあり方を再定義し、リニューアルを成功させたのが、家庭用ゲーム機「プレイステーション」のオフィシャルサイトを制作するソニー・インタラクティブエンタテインメントだ。同社は、リニューアルにおいて何に着目し、どのように実践したのか。
2月23日に開催された「Adobe Marketing Cloud Customer Experience Forum 2017」では、ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア マーケティング コミュニケーション部 ウェブ推進課課長 兼 戦略企画部 プラットフォーム&ネットワーク推進課 課長(CRM担当)秋葉武宏氏が登壇。「プレイステーション オフィシャルサイト カスタマーファーストで考えるウェブ戦略」と題したセッションで、そのマーケティング戦略を明かした。
「カスタマーエクスペリエンスの最大化」とは何か?
まず登壇したのは、アドビ システムズ アドビグローバルサービス統括本部 コンサルティング サービス本部 プロジェクトマネジメント部 部長 小栗順平氏だ。
アドビ システムズ アドビグローバルサービス統括本部 コンサルティング サービス本部 プロジェクトマネジメント部 部長 小栗順平氏 |
小栗氏は、「商品情報を知るきっかけになったメディア」のアンケートデータから、「伸びたのはデジタルメディアだけであり、6割の人は商品の情報をWebサイトで調べている」として、サイトの重要性を説明。
にもかかわらず、「8割の人は『探している情報が見つけにくい』という体験をしている」と指摘し、「企業目線ではなく、自分が欲しい情報が提供されているかどうかが、Webサイトに求められている要素」だと語った。すなわち、「カスタマーエクスペリエンスを最大化すること」こそが、Webサイトの役割というわけだ。
では、カスタマーエクスペリエンスの最大化とは具体的にどういうことを指すのか。
小栗氏曰く、「お客様に知ってもらい、継続的な満足を得られる状態を最大化すること」であり、「そのためには接点をシームレスにつないで、お客様に寄り添った情報を提供しなけれならない」という。
ここで重要になるのが、「カスタマージャーニーマップ」の作成だ。カスタマージャーニーマップとは、顧客と企業のインタラクション(交流)を1つの「物語」として視覚的に表現したものである。
まずペルソナを作成し、カスタマージャーニーに入れ込む。その上でリサーチとワークショップを行い、結果を統合してマップを作成するという流れになる。このとき、留意すべきは「ハイライト」と「ペインポイント」だ。ハイライトとは顧客が満足するラインのことであり、ペインポイントとは逆に改善しなければならないラインである。
「ハイライトを伸ばすことを意識し、ペインポイントを見いだして改善することが大切です。作りっぱなしで終わらず、評価・改善を繰り返さなければなりません」(小栗氏)
こうした方法を取り入れてリニューアルしたのが、プレイステーションの公式Webサイトである。