Microsoft Azure Stack研究会(略称:MAS研)は3月8日、「Microsoft Azure Stack研究会 第4回集会」を都内にて開催した。同研究会は、クラウド基盤構築用ソフトウェア「Microsoft Azure Stack」を利用したビジネスを行いたい企業やエンジニアが集うオープンコミュニティ。2017年中に予定されるAzure Stack正式リリースまでという期間限定で発足し、定期的に勉強会を開催している。
その第4回にあたる今回は、Azure Stackの最新情報やAzure Stack PaaSの現状と今後の展望、Azure Stackの保守・運用に関する技術検証結果などが順に発表され、会場を埋めた約80名の参加者は熱心に耳を傾けていた。
ここでは、同研究会の発起人でもある日本マイクロソフト 高添 修氏が紹介したAzure Stackの最新動向を中心に、第4回集会の模様をお届けする。
Azure Stackとともに成長する「MAS研」
「自社データセンターに持ち込める『Microsoft Azure』」をコンセプトに掲げるAzure Stackには、プライベートクラウドとして、もしくは国内のクラウド事業者が提供するクラウド基盤として、注目している方も多いだろう。
そうしたなか、2016年8月、2017年中に予定されるAzure Stack正式リリースまでの約1年間という期間限定で発足したのがMicrosoft Azure Stack研究会だ。要素技術の研究や検証結果・最新情報の共有などを目的に活動しており、分科会を設けるなどして定期的な勉強会を行っている。
参加条件は「本活動を企業名で露出できること(研究目的も可)」「Azure Stackの実機検証を行う環境/人員を確保できること、もしくは検証環境・関連情報の提供など、研究会の活動を支援可能であること」となっているが、必ずしもMicrosoft Azure Stack導入を確約する必要はないとされている。
集会冒頭、登壇した高添氏は、研究会の現状について「参加企業53社、159名になりました!」と報告。「これからいろいろ仕掛けていきたい」と意気込みを語り、新規会員向けに事務局の状況や会員専用の情報共有サイトなどを紹介した上で、最初のテーマであるAzure Stackの最新動向から切り出した。
折しも、研究会が行われた前週の3月3日、「Azure Stack Technical Preview 3(TP3)」が公開されたばかりだ。
「TP3は2月中に出ると聞いていたので、今日の集会には間に合うと思っていたのですが、『出ない』ということがわかりまして。あきらめていたら、3月3日に公開されたので、検証してお話するには時間が足りないという事態になってしまいました。それでTP3の環境を作るほうに取り組むべきか、今日の資料を作り込むべきか迷ったのですが、すみません、TP3のほうを取ってしまいました(笑)」(高添氏)
Azure Stack TP3は、Technical Previewとして最後のメジャーバージョンアップだと言われている。ただし、開発しながらアップデートは繰り返されるので、TP3のモジュール自体は今後もアップデートされていくイメージだ。
また、正式リリース後の入手方法としては、ハードウェアメーカーからしか入手できなくなるわけではなく、今のTPのような入手形態もそのまま残される。検証用ソフトウェアの名称は「Microsoft Azure Stack Development Kit」となることが決定した。
高添氏が「既にTP3を入手してインストールした方はどのくらいいらっしゃいますか?」と会場に問い掛けると、公開からまだ数日しか経っていないにもかかわらず、10名ほどの手が挙がった。氏が実際に触ってみた印象としては「何となく『Azureっぽくなったな』という感覚がある」という。