日本企業のグローバル展開が加速する昨今、海外拠点における人材戦略の重要性が高まっている。こうした状況を受け、コーナーストーンオンデマンドジャパンは2月17日、「グローバルタレントマネージメントセミナー 人事は組織変革を主導するリーダーとなりえるのか? ~グローバル組織となるための個人の意識改革へ~」と題したイベントを東京都内で開催した。
特別講演には、米Cornerstone OnDemand シニアバイスプレジデント 企業戦略担当のジェイソン・コルセロ氏が登壇。同氏は「グローバル化時代における「タレント〔社員の才能〕」のチカラ~」をテーマに掲げ、世界の動向を踏まえて日本企業がグローバルでビジネスを展開する際に求められる人材マネジメントのあり方や、具体的なタレント(社員の才能)の育成方法などについて語った。
イノベーションとタレントマネジメントの「密接な関係」
講演冒頭でコルセロ氏は、「イノベーションの進展により、デジタルによる『破壊』が世界で起きている」と訴え、UBERやAlibaba Group、aibnb、NETFLIXといった最先端のサービスを提供する企業を例に挙げた。
米Cornerstone OnDemand シニアバイスプレジデント 企業戦略担当のジェイソン・コルセロ氏 |
世界中でWebやアプリを用いた配車サービスを展開するUBERは、サービス提供開始からたった7年ほどで現在の地位を獲得している。これは「デジタルテクノロジーによる既存ビジネスの破壊」と言っても過言ではないだろう。
当然ながら、グローバル企業のトップも、自社で破壊的なデジタルテクノロジーを活用すべく大きく舵を切っており、「フォーチュン500のCEOのうち実に67%が、自社を『テクノロジーカンパニー』だと見なしている」(コルセロ氏)という。
こうした現状を説明した上で、氏は「全ての企業がテクノロジーカンパニーにならなくてはいけません。テクノロジーやイノベーションを自らのものにしなければ、これからの企業は生き残っていけないからです」と力説した。
PwCの調査「Fortune Magazine CEO Survey, 2015」によると、「貴社の最も大きなチャレンジは何ですか?」という問いに対し、72%の企業が「より俊敏なテクノロジーイノベーション」と回答しており、回答結果のトップとなっている。
その一方で、「社員のスキル不足」や「多様性のマネジメント」といった回答もそれぞれ34%、25%と決して少なくない。このような回答結果に対しコルセロ氏は、「イノベーションと多様性は同時に生じるものです。『ビジネスのスピードに合わせて、いかにタレントをマネジメントできているか』がイノベーションのカギを握ることになります」と説明する。
このようにイノベーションと人材が切っても切り離せない関係にある今、日本企業にとって深刻な問題となっているのが、急激に進みつつある少子高齢化だ。例えば米国の場合、人材プールがまだまだ大きいため、これからも経済成長を持続することが期待できる。だが、労働人口が減少しつつある日本では、日ごとに厳しい状況になっていくのは明白だ。
「グーグルのような最先端のテクノロジー企業ですら、データサイエンティストのような希少人材を確保するのには苦労しており、欧州だけでなくアジアやアフリカ地域などにも裾野を拡げて人材を探しています。日本も同じようにグローバルに目を向ければ、少子高齢化による人材不足を解消し、さらなる成長に向けたチャンスをつかむことができるのではないでしょうか」(コルセロ氏)