「ワークスタイル変革は、それそのものを目的化してはいけません。生産性を上げるためなのか、企業文化醸成のためなか、何か理由があって着手することになるはずです。他社の真似をするだけでは意味がありません」
こう語るのは、Sansan CIO 兼 IT&ロジスティクス部 部長の久永 航 氏である。
12月1日の第30回 マイナビニュース スペシャルセミナーでは、『戦略的にITを活用せよ! 急成長企業に学ぶワークスタイル変革』と題し、ワークスタイル変革の先進企業であるSansanに自社の施策を披露してもらった。
講演資料は、稿末の資料案内からダウンロードいただけます。
主なスライドタイトルも掲載していますので、ご参照ください。
対面営業禁止を定着させるまで
CWO(Chief Workstyle Officer)の設置や、完全オンライン営業など、さまざまな取り組みで世間を賑わせてきたSansan。在宅ワークの導入はもちろん、最近では、徳島県の過疎地域にある古民家を再利用したサテライトオフィス「Sansan神山ラボ」を開設し、エンジニアらが集中して働ける環境を作るなど、引き続きワークスタイル変革を積極的に進めている。
Sansan CIO 兼 IT&ロジスティクス部 部長の久永 航 氏 |
いずれの施策も闇雲に開始したわけではない。すべては、社員の生産性向上のために取り入れてきたものだ。したがって、導入しても効果が薄ければどんどん変えていく。長年のワークスタイル変革の経験から、そんな風土が社内に根付いている。
例えば、Web会議システムを活用したオンライン営業の導入である。開始当初は、制度を会社に根付かせる目的もあり、営業先の直接訪問はよほどのケースを除いて禁止としていた。これにより、1日5件だった営業活動の限界が、8件、10件にまで伸ばせた。さらに、地方企業との商談も迅速かつスムーズに進むようになったという。
そうして根付いた後は、対面営業も解禁。初回はオンライン、2回目は直接訪問など、必要に応じて対面営業も選べるようにすることで、営業活動の幅を広げている。
久永氏が主導するツール面の整備も柔軟に進めている。当初は取引先との会話もWeb会議システムで行っていたが、イヤホン/マイクでの会話では営業を受けるクライアントの担当者がオフィスで浮いてしまうケースがあった。そこで、会話には電話を使うように変更。その結果、オンライン営業を受けてもらえる機会が増えたという。
「オンライン営業に変えたことで、営業担当者の場数が増えたうえ、同行しなくても内容や会話をチェックできるようになりました。営業社員のスキルアップにもつながり、生産効率は大幅に向上しています」
ツール、制度、風土の三位一体がポイント
ワークスタイル変革に必要な要素として、久永氏は、「Tool(環境)、System(制度)、Value(風土)」の3つを挙げる。
例えば、オンライン営業を始めるにあたって、Web会議システム(Tool)を導入すれば十分かというと、決してそうではない。制度として対面営業禁止を決め、オンライン営業の効果/価値観を社員に定着させることができて初めて生産性向上につながるわけだ。
決して小さなチャレンジではないが、Sansanには、これまで積み重ねてきた施策により、受け入れられる企業風土がすでに醸成されているという。
ツールに関しても同様で、良いIT製品/サービスを見つけたら導入して使ってみるという風土ができている。導入済みジャンルであっても良さそうな製品/サービスは次々と試しており、現在では、Web会議システムや社内SNSなどは複数製品/サービスを利用シーンによって使い分けている。
では、どの製品/サービスをどういったシーンで活用しているのか。その一例も講演資料に掲載されているので、興味のある方はダウンロードしてほしい。
講演資料の内容
講演資料は全46ページ。ワークスタイル変革に対するSansanの考え方や、施策について具体的に解説しています。
同社が導入している制度やツールも紹介しているので、ワークスタイル変革をご検討の皆様は参考にしてください。
<PDF内容>
- Sansanの考えるワークスタイル変革とは
- 三位一体のワークスタイル変革
- 会社の成長と働き方革新の軌跡
- 事業の拡大にともなう課題の変化
- 社員数と働く場の変化
- サテライトオフィス「Sansan神山ラボ」
- Sansan神山ラボ開設の”当初の”狙い
- オンライン営業
- ワークスタイルに関する社内制度
- セキュリティを仕組みで担保
- 目指すところ
- ワークスタイル変革のために重要なこと