第3回は、ネットワーク接続によって遠隔でM2M機器の管理・運用を行う「デバイスリモート監視」という仕組みについて解説します。

デバイスリモート監視とは

M2M機器は、管理している場所とは別の遠方に設置されていたり、広域に分散していたりするケースが多く、一度不具合が生じると、対応・復旧に多大なコストや時間がかかる場合があります。

例えば、M2M機器のソフトウェアに不具合が発生して修正が必要になった場合、遠隔操作に対応していないと、機器を設置している場所に作業員を派遣して1台ずつソフトウェアの修正作業と動作確認をすることになり、台数と設置場所に比例してコストと時間が増大します。

そのためM2M機器は、長期間連続して稼動するために、自己診断機能やネットワークを経由した設定変更、搭載ソフトウェアへの機能追加や不具合改修のためのアップデート、ソフトウェアの不具合などで動作しなくなった異常時の再起動などが、遠隔操作でできるように設計されています。なお、M2M機器と説明していますが、これは今後のIoT時代におけるIoTデバイスでも有効な運用手法となります。

デバイスリモート監視を使った対応の例

もしM2M機器の運用を行う場合、「デバイスリモート監視」の各機能を用いてどのような操作を行うのでしょうか。

まず初めに忘れてはならないのがM2M機器のパスワードです。遠隔設定変更機能を用いて、定期的に変更することをおすすめします。念のためM2M機器の初期パスワードが同じもので設定されていないかも確認してください。

M2M機器自体の機能ではありませんが、M2M機器のソフトウェアにセキュリティホールがないかどうか、機器メーカーの対策状況の確認も忘れてはなりません。もしセキュリティホールが見つかった場合は、対策済みのソフトウェアがリリースされ次第、M2M機器のソフトウェアを遠隔でアップデートして、攻撃への対策を迅速に行いましょう。

また、遠隔設定変更機能ではM2M機器のデータアップロードの時間帯や内容について、設定変更できるケースが多くみられます。データの取得回数を増やすことで、より詳細なデータ分析に繋げられるため、再考してみてください。

同時に、M2M機器の通信ログや通信量、通信の発生時間の変化がないかも見ておきましょう。M2M機器の今までになかった通信先や通信量の増減から機器やネットワークの異常を発見できる場合がありますので、変化を見逃さないことが重要です。

最後に、運用に影響がない範囲での定期的な再起動も重要なポイントです。安定的に動作するプログラムであっても電源投入直後が一番安定しています。M2M機器本来の安定した動作を長期間に渡って続けるには、定期的な再起動をおすすめします。

著者プロフィール

上竹 勝彦(うえたけ・かつひこ)
ソフトバンク 法人事業統括 ICTイノベーション本部 モバイルES統括部 モバイルサービス部

携帯電話用のIPネットワーク構築、メールサービス実装、迷惑メール対策を経て、現在はモバイルの法人向けサービス「ソフトバンク 法人サービス M2Mソリューション」の開発を担当。