シマンテックは12月8日、2017年のセキュリティ動向予測を発表した。説明会の冒頭、シマンテック 代表取締役社長の日隈 寛和氏は同社の2016年の振り返りとして「毎日ダッシュしていたようだ」と数多くの出来事があったと語った。
ブルーコート買収の最大の成果は?
バックアップ事業のベリタスビジネスを譲渡が完了したことで再びサイバーセキュリティに特化しただけでなく、ブルーコートとライフロック社を買収したためだ。
シマンテック 代表取締役社長 日隈 寛和氏 |
ベリタスの分社化が完了し、ブルーコートとライフロックの買収、経営トップの刷新など大きく会社の有り様が変わった。シルバーレイクより総額10億ドルに及ぶ出資受け入れも行っている |
特にブルーコートの買収によって、エンドポイントやメール、監視サービスに強いシマンテックがWebセキュリティ分野でも強力なポジションに付けることで、幅広いサイバーセキュリティーに対応が可能になった。業界の地位をさらに高める事が出来ただけでなく、脅威情報データベースにブルーコートのデータベースを完全に統合したことで「民間企業では最大級の脅威情報を集約できるようになった」(日隈氏)。
クラウドとIoTの脅威は続く
一方で脅威動向については、クラウド時代の進展によって「脅威の質が変わり、従来の製品で守るのは難しいかもしれない」と日隈氏。IoTデバイスも実際に攻撃として使われてしまった事例も出ているが、シマンテックとしてはトータルソリューションで顧客を守ると話す。
その後、シマンテック セキュリティレスポンス シニアマネージャの浜田 譲治氏が、「2017年以降のセキュリティ予測」について説明した。
浜田氏は、クラウドとIoTはセキュリティでも重要なキーワードになっていると指摘。近年のモバイルデバイスを活用した働き方改革の流れもあり、「従来のようにエンドポイントと境界を防御するのではなく、ユーザーとデータを保護する形にシフトしなければならない」と話す。
そうした状況では、クラウド上にデータを集約するため「クラウドを狙うランサムウェアが出る」(浜田氏)。同時に、セキュリティの甘いIoTデバイスを用いた大規模攻撃の「MIRAI」が今年のトレンドとなっており、今後もこのような動きが続くと警戒心を口にした。
一方で守る側のセキュリティソリューションも進化は続いている。AIとマシンラーニング技術が洗練されて来たことから、企業で活用できる新たな「強大な知見」が生まれるという。シマンテックに限らず、機械学習の結果を生かしたエンドポイント製品が登場しているが、これらが真に高い防御力を持ち合わせているのか、あるいは単なるマーケティング用語で終わるのか、効果が見え始める来年の環境変化が待ち遠しいところだ。