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ノベルは12月9日、「SUSE Open Forum Japan 2016」を都内で開催した。メインフレームやHPC、高可用性システム、SAP HANA基盤への採用などで存在感を放ってきたSUSE。2015年には米HPE(Hewlett Packard Enterprise)、ミランティス、インテルなどとの戦略的提携が相次いで発表されたことに加え、OpenStackやSoftware Defined Storage(SDS)分野での買収と製品強化など新しい展開を見せ、注目度が増している。本稿では、同イベントで「Define your future」をテーマに行われた基調講演の模様をレポートする。
新たなビジネス展開に向け、企業が高めるべき「バランス感」
基調講演には、独SUSEのプロダクト ストラテジー&アライアンス担当プレジデントのマイケル・ミラー氏が登壇。ゲストスピーカーとして登壇した日本ヒューレット・パッカード エンタープライズグループ事業統括 データセンター・ハイブリッドクラウド事業統括 執行役員の大月剛氏と、富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部長 田中克枝氏とともに、SUSEの現状と展望について解説した。
ミラー氏はまず、近年のIT予算の動向について、現状維持のために使われる分が大半で、イノベーションに振られる予算が少ないことを指摘。新しいビジネスのためには「俊敏性を高めることと、既存ビジネスの信頼性やセキュリティを高めることのバランスを取ることが重要」だとし、「SUSEは、そうした投資のバランスを最適化する製品を展開していきます」と説明する。
独SUSEのプロダクト ストラテジー&アライアンス担当プレジデントのマイケル・ミラー氏 |
SUSEは1992年にドイツで設立され、エンタープライズ領域を中心にさまざまな企業とエコシステムを作ってきた。同社が提供する「SUSE Linux Enterprise」は、今ではFortune100企業の3分の2が利用するディストリビューションとなっている。業績も好調で、売上高が伸びるなか、100万ドル以上の大型案件の数も増えてきているが、これらもエコシステムの有機的な成長がもたらしたものだという。
同社が今後に向けて積極的に進めているのが協業や買収である。11月には、独it-novumのストレージ管理フレームワーク「openATTIC」を含むソフトウェア定義型ストレージ資産を買収し、今後、SDSに向けた取り組みをさらに強化する方針だ。また、HPEからは「OpenStack」と「Cloud Foundry」関連の資産を買収することを発表している。
「HPEとは、Helion OpenStackとHelion Stackato PaaSで協業していましたが、買収により、OpenStack関連の技術は『SUSE OpenStack Cloud』に取り込まれ、さらに拡張されることになりました。また、CloudFoundyはさまざまなパートナーとともにPaaS市場に参入する足掛かりとなります。これは、とてもエキサイティングであり、既存パートナーにとってもメリットが多い取り組みです」(ミラー氏)
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