今、HR Techが注目を集めている。HR Techとは人材を意味する「HR(Human Resource)」と技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語で、クラウドやAI(人工知能)などIT技術を活用し、人事関連業務の高度化・効率化を実現しようという動きだ。
トークノート、カオナビ、KUFUの3社は11月28日、このHR Techをテーマにした勉強会『HRテック活用(実践編)』を東京都内にて開催した。企業の人事担当・マネジメント層を対象に行われた同イベントでは、社内SNSや人材管理ツール、クラウド労務ソフトなど、HR Tech関連製品を提供する3社がそれぞれの視点から、HR Techの最新動向や導入事例の解説を行った。
AIを活用して社員のコンディションを解析
トークノートが提供する社内SNS「Talknote」は、メールやチャット、SNSを集約したコミュニケーションツールだ。共有したい情報は「グループ」に投稿することでメンバー間で共有でき、返信が必要な内容は「メッセージ」としてチャット感覚でやり取りできる。2011年、「共通の価値観が浸透した『いい会社』を作る」を製品コンセプトに掲げてリリースされ、今では約2万4,000社が利用しているという。
そんなTalknoteが提供する「アクションリズム解析機能」について紹介するのは、トークノート 代表取締役の小池温男氏だ。同機能では、AI(人工知能)によって日頃の社員のコミュニケーションデータを解析し、コンディションを把握することができる。
トークノート 代表取締役の小池温男氏 |
アクションリズム解析では、ユーザーのログイン時間帯から割り出す行動リズムをはじめ、Talknoteに蓄積された各ユーザーの投稿数や投稿に対するリアクションの数などを分析し、「変化の兆し」を検知すると、あらかじめ設定しておいた管理者に通知される。通知を受けた管理者は、該当する社員に「最近何か悩んでいることはないか」などを尋ねることができるというわけだ。
2015年12月から、従業員50人以上の企業には年に1回以上のストレスチェックが義務化されたことも手伝い、社員のメンタルヘルス管理に真摯に取り組もうとしている企業は多い。だが、従来のように人事担当者が属人的にフォローするやり方では、企業規模が大きくなるほど目が行き届かなくなってしまう。
「企業では、社員数が増えると誰をどう見守って良いのかがわからなくなってしまいますが、そこをTalknoteのAIで効率的にサポートしていきたい」と小池氏は力を込める。
氏は、具体的な活用例としてTalknoteを就職内定者のフォローに活用している企業の事例を紹介した。鶏卵の自家生産・販売などを行うアキタでは従来、人事担当者と内定者とのコミュニケーションにメールを利用していたが、人事が必要事項を伝えるだけの一方通行のコミュニケーションになりがちだった。
そこでTalknoteによって内定者のグループを作成し、双方向性の高いコミュニケーションを実現。会社の情報を定期的に伝えることができるため、研修の役割も果たしているという。アクションリズム解析によって、内定者のログイン頻度が低下したら積極的に連絡するなど内定辞退を防ぐ取り組みを行っている。
小池氏は、「Talknoteでは、メンタル面の悪化を察知したり、モチベーション・マネジメントを仕組み化したりと、組織を強くするための機能開発を進めています」と説明し、今後、アクションリズム解析に追加するかたちでオーバーワーク探知機能をリリースする予定であることを明かした。