「ビッグデータ」という言葉が身近なものとなり、AIや機械学習の技術も目覚ましい発展を遂げる昨今、企業データの価値は高まる一方だ。収集・蓄積したデータをいかに活用するかが、今後のビジネスの明暗を分けると言っても過言ではないだろう。
一方、企業のクラウド利用が進み、既存の業務システムと相まってデータはさまざまなかたちで社内外に散在している。そうした中で、データ連携に対するニーズにも変化が起きているという。
これを踏まえ、インフォテリアは10月6日、データ連携ミドルウェア「ASTERIA WARP」シリーズの新ラインナップ「ASTERIA WARP Core(アステリアワープ・コア)」を10月31日から販売開始することを発表した。
また、それに絡め、11月25日(金)には新サービスを活用する「発想力」の研鑽に焦点を当てた同社初のハッカソン「『駅すぱあと』×『ASTERIA WARP Core』」の開催が予定される。
なぜ今、このタイミングでASTERIA WARP Coreは世に送り出されたのか。ハッカソン開催の狙いはどこにあるのか。インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 シニアプロダクトマネージャー 森一弥氏と同社カスタマーインティマシー推進部長 兼 AUG運営事務局長 穴沢悦子氏に聞いた。
インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 シニアプロダクトマネージャー 森一弥氏(左)と同社カスタマーインティマシー推進部長 兼 AUG運営事務局長 穴沢悦子氏(右) |
クラウド普及で変わるデータ連携へのニーズ
データ連携は、異なる業務システムのデータを統合したり、複数のExcelデータを別の統一フォーマットに落とし込んだりする際に使われることが多い。データを連携することで情報共有が容易になり、業務効率の向上にもつながる。また、1つ1つは小さなデータでも、他のデータと組み合わせ、分析することで新たな事実やビジネスのヒントが浮かび上がることもある。
とは言え、データ連携フローの構築には相応の知識が必要となるため、作業はIT部門が担当することが多い。もし、これがITの専門知識無しにできるようになれば、他部門がIT部門に依頼する手間が省けるだけでなく、業務の当事者が手掛けることでより現場にマッチしたフローを構築できるだろう。
そこで2007年に登場したのが、中堅企業向けのデータ連携ミドルウェア「ASTERIA WARP Standard」だ。同製品は、アイコンのドラッグ&ドロップとプロパティの設定でフローを作成することで、各種業務システムやクラウドサービス、ファイルなどを連携できるというもの。その6年後となる2013年に発表された大企業向けの「ASTERIA WARP Enterprise」と合わせ、累計導入実績は5,788社に上る(2016年9月末時点)。
この両エディションに、2014年からパッケージ販売に加えて月額課金制が導入されたのは、近年のクラウドサービス普及が影響しているという。
「クラウド利用が浸透するにつれて、ユーザーから『データ連携もクラウド化できないのか』という声が聞こえ始めました。しかし、よくよく聞いてみると、実際はデータ連携自体をクラウドサービス化したいのではなく、使った分だけ支払う月額版が欲しいということだったんです」(森氏)
確かに、CRMやSFA、MAといった機能をクラウドで利用することに慣れたユーザーが、必要な機能を必要な分だけ使用したいという思いに行き着くのはごく自然な流れだろう。つまり、より小規模な単位で手軽に利用できるデータ連携ソフトが求められているのだ。
こうしたニーズを反映して追加されたサブスクリプションモデルは、通常ライセンスが480万円からのASTERIA WARP Standard Editionを月額24万円から使用できるというもので、利用のハードルは一気に下がった感がある。だが、事業所・部署といったレベルでの利用を考えると、24万円という使用料金は手頃とは言いづらい。
「サブスクリプションモデルを出したのが契機になって、『大量のExcelを処理したいだけ』『短期間で1つのクラウドサービスにデータを入れたいだけ』といった限定的な使い方にも対応していくべきではないかという話が社内で持ち上がるようになりました」(森氏)