IoTをビジネスに導入したい――そう考える企業が増えている。しかし、いざ具体的に導入をという段階になると、「どのようにIoTを取り入れればよいのかわからない」「思ったようにプロジェクトが進まない」といった課題に直面し、足踏みしているケースが多いようだ。
なぜIoT導入はうまくいかないのか、IoTで成功するためにはどうすればよいのか。ここでは、10月4日~7日に開催された「CEATEC JAPAN 2016」において、エスキュービズム 取締役 武下真典氏が登壇したセッション「事例で学ぶ、わかりやすいIoTプロジェクトの進め方」をレポートしよう。
拡大するIoT領域。しかし多くの企業は「未着手」
多店舗チェーン向けにマネタイズプラットフォームに関するソリューションを提供するエスキュービズムは、2年ほど前からIoT事業にも取り組んできた。日本におけるIoTの盛り上がりをリアルタイムで体感してきた同社は、IoTの現状をどうとらえているのか。
エスキュービズム 取締役 武下真典氏 |
武下氏がまず紹介したのは、2014年と2020年の国内IoT支出額予測の数字だ。2014年には5,402億円だった支出額が、2020年には13.8兆円まで拡大すると見られており、IoT、すなわち、「インターネットに接続するモノの数」は197億個から530億個に増加すると予測されるという。
このように、IoTは拡大することがわかっている領域であるにも関わらず、「IoTに取り組めていない企業が多いのが現状」だと武下氏は指摘する。ガートナー ジャパンの調査からは、「IoTの専門部署やグループができた」と回答した企業は全体のわずか8.5%にすぎないという結果が紹介された。
実際に武下氏が企業の担当者と話していても、IoTに対して困惑している声を聞くことが多いという。
「何かやらないといけないのはわかるけど、どう始めればよいかわからない」「I(Internet)とT(Things)をどうやってつなぐのかがわからない」「うちはアナログな企業なのでIoTとは関係ないのでは?」「そもそもIoTの定義がわからない」
……といった具合である。実際に顧客がエスキュービズムのサイトにたどり着く検索キーワードにも「IoT 事例」や「IoTとは」といったものが多いとのことだ。