かつて、世界でもトップレベルにあった日本の製造業。だが近年、グローバル競争において日本企業の存在感が薄れつつある。こうした事態を招いている理由として挙げられるのが、グローバルにデジタルマーケティングを展開するマネジメント力や組織力、人材力などの弱さだ。
これを克服し、世界を相手にビジネスを展開するためには何が必要なのか。
10月5日に開催された「Adobe Digital Marketing Symposium 2016」では、コニカミノルタのデジタルマーケティング統括部 部長 岩嶋 宏幸氏が登壇し、同社におけるデジタルマーケティング戦略と取り組みについて講演を行った。
世界からの評価が低い日本のデジタルマーケティング事情
コニカミノルタのデジタルマーケティング統括部 部長 岩嶋 宏幸氏 |
デジタルマーケティングというとB2Cのイメージが強いが、B2Bに関しても例外ではない。「組織デジタル化のための変革」「新プラットフォームやサービスによる新たな商流確保ならびに価値創出」「対顧客、パートナー、エンド顧客、社員との深い関係性確立」「顧客体験を通じた他社との差別化」「データを活用し、テストから得られた知見を通じた競争優位性の獲得」など、さまざまな課題が山積している。
こうした課題に対する1つの答えとなるのが、複合機や産業用インクジェット、医療向け製品などを開発・製造・販売するB2B企業、コニカミノルタの事例だ。
登壇した岩嶋氏によると、日本の製造業では年を追うごとに海外売上比率が伸びており、今後はさらに海外でのビジネス展開を考えなければならない段階にあるという。
日経225社における中期戦略でも、81%の企業がグローバル展開を明記しており、ドメスティック戦略に特化する15%の企業を大きく上回っているという状況だ。
にも関わらず、日本企業のデジタルマーケティング力に対する海外の評価は決して高いものとはいえない。アドビシステムズの調査によると、日本のデジタルマーケティングへの取り組みは、特に組織力やスキル面においてAPAC(アジア太平洋地域)の平均を下回っているのだという。
また、海外子会社に対する指導力の弱さや、CMO・CDOなどのポジションが用意されていないこと、デジタルマーケティングに対する適切なROI測定をしていないことなどを指摘する声もある。