KDDIとソラコムは10月19日、両社が共同で開発したIoT向け回線サービス「KDDI IoTコネクト Air」を12月より提供すると発表した。

企業がIoT用途でモバイル回線を利用する場合、従来は相対契約で数百回線以上といった単位の契約が多く、スモールスタートが難しい状況にあった。今回のサービスでは、ソラコムがAWS上に構築した携帯通信コアネットワーク「SORACOM vConnec Core」を活用し、IoT向けプランとして1回線から、安価な利用を可能にした。KDDIとAWS上の仮想コアネットワークは閉域網接続されており、ユーザー企業のクラウドやデータサーバーへのIoTデータの受け渡しをセキュアに行う。

契約事務手数料は1SIMあたり1500円(送料込み)で、基本料は1日10円、利用中断中は5円(中断処理1回につき手数料300円)。音声は非対応でSMS利用は送信が1回3円、受信が無料となる。データ通信量は32kbps、128kbps、512kbps、2Mbpsの4プランで、1MBあたりの通信料金は上り下りで異なる。

通信速度 上り料金(通信量1MBあたり
夜間(2時~6時)の料金は一律0.2円)
下り料金(通信量1MBあたり
夜間(2時~6時)の料金は一律0.2円)
32kbps 0.2円 0.6円
128kbps 0.22円 0.7円
512kbps 0.24円 0.8円
2Mbps 0.3円 1円

これらの通信料金は、ソラコムがドコモのMVNOサービスとして提供している「SORACOM Air」とあまり差はない。事務契約手数料がやや割高となっている一方で、SMS使用料が割安になるなど、総コストとしては同等に近いようだ。通信速度については「お客様ご自身が運用状況によって管理コンソールで適宜選択していただく」(KDDI ソリューション事業本部 ビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏)としながらも、テキストによるセンシングデータの送信の場合は32kbps、コマ送りの動画データであれば2Mbpsといった運用が適当としていた。

また、前述の通り管理コンソールがWeb上で提供されるため、相対契約時のような営業とのやり取りなしで接続、SIM管理、速度変更、休止が可能となる。なお利用申し込みもWebで行える。SIMについては、専用プロファイルを書き込んだau ICカードを提供するため、既存のSIMやエンベデッドのSIMでは利用できない。

KDDIはIoT関連サービスを10月中に追加発表へ

記者説明会でKDDIの原田氏は、1回線から安価に利用でき、Web上で契約、プラン変更までを完結できる「柔軟性」と「利便性」を強調。キャリアビジネスとして大口の相対契約でしか対応できなかった状況を変えたことで、現在のビジネス環境において最も求められる「スピード性」にあわせたコスト、提供形態が用意できたと語る。