KDDIは9月26日、広域ネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」の機能拡張を発表した。一部クラウドサービスへの閉域接続帯域を10倍に拡張したほか、「トラフィックフリー機能」の対象サービスも拡充、2017年3月より提供する。
今回の発表では、大きく3つの機能拡張が行われる。
「トラフィックフリー機能II」の提供
クラウドサービスへの閉域接続の最大帯域が100Mbpsから1Gbpsに
Web管理コンソールで帯域変更などが可能に
「トラフィックフリー機能II」の提供
トラフィックフリー機能は、企業の契約品目に関わらず、クラウドサービス向け通信のトラフィックフリー契約上限まで通信帯域を拡張するもの。拡張された帯域は網内ですべて確保されるため、コストを抑制しながらもパフォーマンスを保てる。
これまでのトラフィックフリー契約上限帯域が最大100Mbpsであったものを300Mbpsまで拡張したほか、対象となる通信先がKDDIのデータセンター「TELEHOUSE」「KDDI クラウドプラットフォームサービス(KCPS)」や提携DCに加えて、新たに「IBM SoftLayer」「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」、自社の任意の事業所も可能となった。
最大帯域の拡張
トラフィックフリー機能での対応と同様に、クラウドサービスに対する閉域接続の上限帯域を100Mbpsから1Gbpsへ拡充する。接続先は上記のSoftLayer、AWS、Azureだが、今後も顧客の利用用途にあわせた接続先の拡充を進めるとしている。
Web上での契約変更
WVS2では、顧客が利用状況に応じてセキュリティ設定やインターネットへ抜ける帯域がWeb上の管理コンソール「カスタマーコントローラ」で変更できる。
このコンソールで新たに「イントラへの帯域変更」「ルーティング」「アクセス制御」の3点が利用できるようになった。これにより、社内イントラと同じような形でネットワーク経路の変更ができるほか、社内トラフィックの利用状況にあわせた帯域が可能になり、コスト低減にもつながるとしている。
ハイブリッドクラウドの需要増でトラフィックも急増
オンプレミスサーバーとクラウドサーバーを組み合わせた「ハイブリッドクラウド」が現在のトレンドだが、その際に必要となるのが「ネットワーク環境の見直し」とKDDI ソリューション事業企画本部 ネットワークサービス企画部 ネットワークサービス企画4 グループリーダーの内川 亘氏は話す。
IDC Japanの調査では、およそ半数の企業がハイブリッド環境に移行済みであり、今後1年以内に移行すると回答した企業もおよそ7割にのぼる。クラウド導入は「トラフィックフローが大きく変わる」(内川氏)ため、今までと同じ環境ではパフォーマンスが低下するケースも見られるという。「いかにコストを抑えながら、新しい環境に適したネットワーク構築が重要になる」(同)。
今回の機能拡張におけるメリットは、パフォーマンス向上とコスト低減だ。