NTT東日本は8月30日、クラウド型ロボットプラットフォームサービス「ロボコネクト」を9月1日より提供開始すると発表した。同サービスは、ロボットメーカー各社が提供するコミュニケーションロボットと連携し、対話機能やカメラ撮影機能などのアプリケーションサービスをクラウド経由で提供するというもの。また、併せて提供される「ユーザー管理機能」および「付加アプリ利用許諾機能」を用いることで、事業者が独自に開発した付加アプリケーションサービスの利用も可能となる。

第一弾として、ヴイストンが提供するコミュケーションロボット「Sota(ソータ)」が対応する。さらに、Sota・ロボコネクトと共に利用することで、介護レクリエーションの進行をサポートする付加アプリケーションサービス「Sota レク」(提供:キューアンドエー)も併せて発表された。

価格設定など、サービスの詳細についてはこちらの記事をご覧いただくとして、ここでは記者発表会で説明されたサービス誕生に至るまでの背景や、会場で実施されたデモの様子などについてレポートする。

60代以上のIT利用率向上に向けたサービス開発

発表会に登壇したのは、NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 未利用層開拓担当課長 菅 光介氏だ。氏は、年齢階層別のインターネット利用状況グラフを示し、60歳以降の利用率が徐々に下がっていることを説明。このインターネット未利用層に対し、利用を促していくのが菅氏が所属する未利用層開拓課のミッションとなる。

年齢階層別インターネット利用状況

インターネット未利用層のうち、IT利用には不慣れだが、趣味や学習、交流に強い関心を持って積極的に活動する「アクティブシニア層」には、すでにNTT東日本が6月20日より、タブレット端末を直感的に操作できる「かんたんタブレットサービス」の提供を開始している。

一方、健康上の理由などから介護・介護支援が必要な層に向けては、介護施設経由でのアプローチを前提にサービス開発を行っているのだという。

介護事業者が抱える課題の1つに挙げられるのが、介護レクリエーションの企画・運営だ。主な企画としては歌や体操、ゲームなどが考えられるが、リハビリ効果なども期待して日々実施されるものであるため、新たな企画考案にかかる労力はもちろん、参加する施設利用者の集中力を持続させることが難しいといった悩みがあるのだという。

「担当する職員の負担が大きく、介護業界の人材流出の一因にもなっています。こうした課題を、ロボットと映像を組み合わせたサービスで解消できるのではないかと考え、昨年の7月から10月にかけて4つの介護施設でトライアルを実施しました」(菅氏)

具体的には、介護レクリエーションコンテンツを映像で流し、レクリエーションの司会進行役としてSotaを活用したのだという。例えば、画面に画像が表示されると、連動してSotaが「これは何?」と利用者に語りかけるといった具合だ。

その結果、職員の約9割が業務の負担軽減と、利用者の介護レクリエーション参加に対する積極性の向上を実感したという結果が得られた。また、第三者機関の調査では、特に認知症患者への効果として、映像のみでレクリエーションを行った際と、ロボットも併用して行った場合とでは、後者のほうがME値(認知症患者の状態を表す値。数値が大きいほど良い状態)が2倍に増加する結果となった。

トライアル結果

「こうした結果を踏まえ、介護施設にとっても被介護者にとっても意義があるのではないかということから、商用サービス化の検討を始めました」(菅氏)

トライアルを実施した施設職員や利用者からあがった「ロボットとおしゃべりしたい」「皆で写真撮影をしたい」「インターネット利用料を含めて月1万円以下が望ましい」といった要望を踏まえ、最終的に今回のロボコネクト発表に至ったというわけだ。

>> ロボコネクトとSota、Sota レクが実現する介護の未来像とは?