アドビ システムズは8月3日、「Adobe Marketing Cloud Data Driven Forum 2016」をJPタワーホール&カンファレンスにて開催した。同イベントでは、米アドビより来日したAdobe Analytics 担当シニア ディレクターや、パートナー企業各社によるセッションが行われ、多様化する顧客データの活用方法やさまざまな顧客事例が紹介された。

本稿では、アドビシステムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏と、米アドビシステムズ Adobe Analytics プロダクトマーケティング担当シニアディレクター、ジェフ・アレン氏によるKEYNOTEセッションのもようをお届けする。

デジタル時代における「課題」と「チャンス」

アドビシステムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏

アドビシステムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏

登壇した佐分利氏はまず、「デジタル時代における課題とチャンス」として「消費者が常にオンラインであること」「データが爆発的に増加していること」「デジタル化によりディスラプション(創造的破壊)が起きていること」の3点を挙げた。

消費者が常にオンラインであることは、顧客接点の増加を意味する。それに伴い、「企業とのコミュニケーションに対する期待値も高まっている」という。

「企業は収集した膨大なデータを効果的に活用し、消費者が求める顧客体験を提供する必要があります」(佐分利氏)

デジタルディスラプションの代表的な例としては、AirbnbやUberなどが挙げられるだろう。デジタル化により、既存のビジネスの枠組みが破壊されつつあるのだ。

その成功事例として佐分利氏が挙げたのは、大リーグの球団が共同出資する米国企業「MLB Advanced Media」だ。同社は、野球ファンが球場で野球観戦する際に便利なアプリを提供しており、これがまさに「データを生かして消費者の期待に応える」内容になっているのである。

例えば、アプリ内でモバイルチケットを表示して球場に入ることができるのはもちろん、試合中には選手のデータを見たり、直前のプレーを動画で再生できたりするほか、その場で食べ物の注文なども行える。冒頭で挙げた3点の「課題とチャンス」の要素をうまく取り入れて、消費者の期待に応えているというわけだ。

優れた顧客体験を実現する「魅力的なコンテンツ」とは?

佐分利氏は現代を「顧客体験中心の時代」と定義し、「優れた顧客体験は魅力的なコンテンツに始まる」と力を込める。

氏によれば、魅力的なコンテンツには次の4つの要素が必要になるという。

アドビシステムズ 代表取締役社長 佐分利ユージン氏
  • 説得力がある
  • パーソナライズされている
  • 役に立つ
  • いつでもどこでも(利用できる)

もちろん、ビジュアルやUX(User Experience)も重要だ。消費者にとって複数のデバイス、複数のスクリーンを使いこなすのはもはや当然のこと。今後はさらに、物理的な店舗やサイネージ、自動車のフロントガラスすらもスクリーンにして情報を表示するようになると氏は説明する。

企業は、こうした多数の顧客接点から消費者のデータを吸い上げることができる。だが、「データを集めるだけでは意味がありません。高度な分析によって、未来を予測することが重要なのです」と佐分利氏は強調する。

そうした時代において、アドビが提供するのが3つのクラウドソリューションである。

まず、PhotoshopやIllustratorに代表されるデジタルメディア環境「Adobe Creative Cloud」、そしてAcrobatなど業務効率をアップするデジタルドキュメント「Adobe Document Cloud」、そしてコンテンツの効果を測定して最適化する統合型デジタルマーケティングプラットフォーム「Adobe Marketing Cloud」である。

佐分利氏は、「これらのソリューションで最高の顧客体験を提供できるよう、お手伝いすることが我々のミッションです」と力強く語った。

>> 経験に頼らず、データドリブンで考えよ!