企業競争が激化する今、いずれの企業も優秀な人材の獲得や育成に日々、奔走していることだろう。企業規模や業種にかかわらず、人材活用に関する悩みは尽きないものだ。

そこで今回は、世界191カ国の企業約2,670社にタレントマネジメントソリューション「コーナーストーン」を提供するコーナーストーンオンデマンドで日本とAPACのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるフランク・リッチャルディ氏に、日本企業がタレントマネジメントを成功させるために今、何をすべきなのかについて話を伺った。

フランク・リッチャルディ氏

コーナーストーンオンデマンドで日本とAPACのバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるフランク・リッチャルディ氏

今、タレントマネジメントに必要なのは?

近年、マーケティング部門や営業部門とIT部門が密に連携した協働体制を敷く企業が多く、その流れは財務部や経理部といったバックエンドの業務部門にも広がっている。人事部門も例外ではないが、まずITが導入されるのは業務効率化の部分からというのが一般的だ。

「しかし、本当に力を入れなければいけないのは、タレントマネジメントの部分です。1人1人のスキルやキャリア設計を適切に管理することで、その人材が所属する部署に提供できる価値が高まります。それが、生産性の向上にもつながるのです」とリッチャルディ氏は語る。

国や文化によって展開されるビジネスはさまざまだが、いずれにおいても人材こそが最も重要な資産であることは変わらない。これまでコストセンターと見なされがちだった人事部門が、今こそ、経営の良きパートナーとして采配を振るうべきときというわけだ。

だが、人事部門は往々にしてIT技術に疎いことが多い。自社に必要な製品やサービスを選定するには、IT部門の助けが不可欠となる。とは言え、IT部門が一方的に主導権を握ればよいわけでもないという。

「人事部門が、自分たちもある程度は技術を理解しなければいけないという認識を持ち、IT部門も自分たちに期待される役割を自覚して初めて、パートナーとして成立します。その上でIT部門が要件定義から関わることにより、ベンダー選定においても具体的な指標に基づいて判断できるようになるのです」(リッチャルディ氏)

IT製品・サービスの導入にあたっては、ベンダー選定だけでなく、サービスレベルについても検討しなければならない。パフォーマンスや可用性など、ある一定値の運用レベルを常に維持するには、IT部門の力が必要になる。

自社の人材活用における課題や今後の方向性については、人事部門が一番よくわかっているはずだろう。一方、その課題・目標を達成するために有効なIT技術や、導入にあたって必要なセキュリティなどについて提案できるのは、IT部門をおいてほかにない。つまり、お互いが必要なのだ。

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