日本マイクロソフトは7月5日、1日より新会計年度(2017年度)に入ったことに合わせて記者会見を開催した。会見には代表取締役社長の平野 拓也氏を始め、各事業担当役員が参加した。
同社はこれまで委員会設置会社であったが、1日付で取締役会設置会社へ移行。米本社など他国法人とガバナンス機能を統一するための措置で、業務執行における意思決定の迅速化を図る。
会見の冒頭には、Windows 10の無償アップグレードを強制するかのようなインタフェースで社会的な問題になったことについて、平野氏は「ユーザーにとって不便であり、ご迷惑をおかけした。的確な情報発信が不十分だったと反省している」とコメントし謝罪した。
2016年度は変革が進んだ年に
一方で2016年度(2015年7月1日~2016年6月30日)の日本マイクロソフトについては「さまざまな変革が推進できた」と、平野氏は明るい表情で振り返る。
米国本社のオープンエコシステムとの協調(RedHatの開発支援強化やBASHのネイティブサポートなど)やWindows 10のリリースといった変革もさることながら、”日本マイクロソフト”としての「ワークスタイル変革」や国内企業との協業などの実績が上手く積み上がったことが、自信へと繋がったようだ。
ワークスタイル変革は、昨夏に「テレワークウィーク」を実施し、650社を超える企業が参加。日本マイクロソフト自身も、この取り組みによって厚生労働大臣賞を受賞したほか、さらなるテレワーク推進・啓蒙のために就労規則を変更し、テレワークの回数制限、場所の制約を5月1日より撤廃している。
「コアタイムも廃止し、社員がより生産性を高められるよう、働きがいを重視した規則に変更した」(平野氏)
一方で国内企業との取り組みでは、業種・業態を問わずに「IoT」「AI」「機械学習」などのバズワードを引き合いに「顧客実績ができつつある」と成果を強調する。ソフトバンクロボティクスとのPepperを活用した小売店向けソリューションでは、Azure MLやPower BIとPepperをコラボレーションして、インバウンド対応をロボットに任せるといった近未来の小売店の在り方を提案している。
また、日産自動車はテレマティクスシステムにAzureを採用するほか、トヨタもマイクロソフトと合弁会社を設立してコネクティッドカー時代のデータサイエンスを模索するなど、IoT時代の先駆者になるべく動く自動車業界との連携も深めている。
このように、マイクロソフトのクラウド戦略の中核に位置付けられるAzureは、売上比率を将来的に50%へ引き上げる目標が掲げられている。2017年度はこうした数字を前提に、さらなるクラウド戦略の前進を図るようだ。