ワークデイは6月29日、2016年事業の国内展望および同社のクラウド型人事ソリューション「Workday HCM」の新機能について記者説明会を行った。説明会では、同社代表取締役社長 ゼネラルマネージャの金翰新氏により事業戦略が語られるとともに、プリセールスマネージャ 小澤宏氏がデモを交え、Workday HCMの最新バージョンを紹介した。
本格参入から1年半、その成果は?
ワークデイ 代表取締役社長 ゼネラルマネージャの金翰新氏 |
ワークデイは、2013年に米Workdayの日本法人として設立された企業向けクラウド型財務・人事アプリケーションプロバイダ。設立当初は国内のカスタマーサポートを主としていたが、日本向け製品の開発体制が整った2015年1月から、財務・人事システムの国内市場に本格的に参入し、約1年半が経過したことになる。
通常、外資系企業が日本で事業展開する際は、まず中小企業を相手に実験的なマーケティング戦略を展開し、徐々に顧客を増やしてから大手企業にアプローチするといった流れになることが多い。だが金氏は、「我々は、全く逆のアプローチをしてきました」と語る。
「大手企業やグローバル展開している企業を顧客にすることで、よりスピーディにソリューションを訴求できます。それが私たちの使命であり、正しい戦略だったと思います」(金氏)
その言葉通り、国内市場に本格参入してからというもの、ワークデイはグローバル展開する大手日本企業を主要ターゲットに事業を進めてきた。今年5月には、国内に本社を置くグローバル企業としては初めて、日産自動車がWorkdayを導入・本稼働を開始したことが発表され、注目を浴びたのが記憶に新しい。金氏は「これは、我々の実力を立証する意味でも重要なニュース」だと強調する。
もう1つ、この1年半の成果として氏が挙げたのが、国内の顧客数の増加だ。日本法人が設立された当時、すでにWorkdayは国内でも150社で利用されていたのだが、これが今では325社にまで拡大している。グローバル志向を持つ大手企業から声がかかることが多いものの、日本国内だけで事業展開している企業にも採用されているという。金氏は、「これはHCM Workdayが日本の人事制度にもマッチするものであることの証」だとし、国内志向のビジネスのサポートへも意欲を見せた。
機能追加の決め手はユーザーの”声”
Workday HCMでは、機能追加にあたり、「ブレインストーム(Brainstorm)」というユーザーコミュニティ制度を採用している。コミュニティから上がった要望を元に投票を行い、票数が多かった機能を優先的に組み込むというアプローチだ。小澤氏は「2016年3月に実装されたバージョンでは、ブレインストームからの要望を元にしたものだけでも208の新機能が追加されました」と説明する。
氏は、追加された主な機能として「スコアカードの機能強化」「オポチュニティグラフ」「リテンションレコメンデーション」「コラボレーション機能強化」「プロダクトツアー」「ブランディング」の6つを紹介。
複数階層にまたがる昇給処理などの調整を統合管理することができる |
画面操作をナビゲートするプロダクトツアーは、多言語にも対応する |
企業ロゴやバナーを入れるブランディング機能は顧客からの要望が多かったという |
9月にリリースが予定される新バージョンでは、ExcelやGoogleドキュメントのような機能をWorkday HCMのセキュアな環境で使えるワークシートを提供する予定だという。
このように次々と”欲しい機能”が追加され、ITによって高度な人材管理が可能になっていくと、企業の人事部門はどのような役割を担うことになるのだろうか。金氏は、「人事部門は、社内にどんな人材がいるかを把握し、その人材をいかに戦略的に活用するかという提言を行うべき存在」だと説く。事務作業に終始するのではなく、企業と社員とがパートナーシップを築くためのさまざまな仕組みを整備することこそが仕事だというわけだ。
「業務を効率化することで、人事部門はそうした戦略立案にもっと時間を費やせるようになるはずです。我々は、それを支援していきたいと考えています」(金氏)