日本オラクルは4月26日、同社が提供するPaaS「Oracle Cloud Platform」の概要やその活用事例などを中心に紹介するイベント「Oracle Cloud Platform Summit Tokyo」を開催した。本稿では、その基調講演のもようをダイジェストでお届けする。

クラウドの力でより良い社会を作りたい

日本オラクル代表取締役社長兼CEO 杉原博茂氏

日本オラクル代表取締役社長兼CEOの杉原博茂氏

基調講演のオープニング、日本オラクル代表取締役社長兼CEOの杉原博茂氏は「我々が”クラウドでナンバーワン”を目指すのは、社会に貢献するためです。クラウドの力を活かして、日本の社会、そして日本の人々の人生を良くしていきたい」と宣言。少子高齢化により人口減少が進むと、65歳を迎えても働くのが当たり前の社会が到来する。「そのときに問題となるのは、働き方だ」と杉原氏は指摘する。

「人々の働き方をどう変えていけるのかが、我々に課された最大の課題です。ICTを駆使して生産性を高めることで、より良い社会をどう作っていけるのかを考えたいと思っています。そのためには、日本の経営者の方々にも、もっとICTへの理解を示して欲しいのです」(杉原氏)

こうした働き方に関する課題の解決手段の1つとなるのが、クラウドである。なかでもクラウドならではのアジリティは、生産性と効率性の向上に大きく寄与すると期待されている。そしてまた、群雄割拠するクラウドサービスの中で、どれが”本当に使える”クラウドなのかも重要なポイントだ。

杉原氏は、「Oracle Cloud Platformは、PaaSにIaaSを融合したものです。どういうことかと言うと、一般的なIaaSはインフラ部分をカバーしているので、サーバなどのIT基盤を安く素早く提供できます。当社はここに、アプリ開発やクラウド連携、コンテンツ管理、アナリティクス、クラウド運用管理、ID管理などをすべて統合し、”PaaS+IaaS”として簡単かつ使えるかたちで提供しているのです」と力を込める。

氏は、オラクルの”6つの哲学”について言及しながら、チップからアプリケーション、クラウドまですべてを提供している製品体系を強調。「ハードウェアからすべてを自分たちで作って提供しているのも、他社を凌駕する気合があるからこそです。そこには、我々が標榜する『クラウドのちから・POCO(The Power Of Cloud by Oracle)』への強い思いがあります」と会場に訴えかけ、オープニングを締めくくった。

クラウドに新たな選択肢を

日本オラクル 副社長 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括の石積尚幸氏

日本オラクル 副社長 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括の石積尚幸氏

杉原氏に続き登壇したのは、日本オラクルの副社長 執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括の石積尚幸氏と同社クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室の室長、竹爪慎治氏だ。

石積氏は、Oracle Cloud Platformの強みについて、「データベースも含め、皆さんが使っているエンタープライズシステムが、そのままクラウドでも活用できるところにあります」としたうえで、「一貫した運用性と管理性を備えたクラウドソリューションをお届けしたい」と語った。

一方、竹爪氏は、新しいコンセプトのサービスである「Oracle Cloud Machine」を紹介。これは、Oracle Cloudと同一のソフトウェアで構成されたソリューションで、オラクルが提供するIaaSとPaaSをそのまま自社のデータセンター内に実現できるものだという。

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 室長の竹爪慎治氏

日本オラクル クラウド・テクノロジー事業統括 PaaS事業推進室 室長の竹爪慎治氏

「これまでは、クラウドかオンプレミスかという2つに1つの選択肢しかありませんでした」と竹爪氏は語る。確かに、既存システムに近いものはプライベートクラウドで実現し、開発系などアジリティが大切なものはパブリッククラウドで、というのが一般的な考え方だ。

「ここに、未来の業務システムのための基盤として、Oracle Cloud Machineによる”専有パブリッククラウド”が加わることになり、より選択の幅が広がるはずです」(竹爪氏)

氏は、IoTやビッグデータに関する包括的なクラウドアーキテクチャである「IoT Cloud Service」「Big Data Cloud」、「Integration Cloud」を紹介。「IoTやビッグデータの継続的な利活用をクラウドでトータルに実現できるのが、オラクルの強みです」と力説し、壇を後にした。

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