MIJS(Made In Japan Software & Service)コンソーシアムは4月4日、第1回MIJS Japan Tech Valley Summitを開催した。イベント冒頭では、新理事長に就任したWEIC代表取締役社長 内山雄輝氏が日本版シリコンバレー構想「JAPAN Tech Valleyプロジェクト」を発表し、それに続くかたちでMIJSの常務理事らによるパネルディスカッションが行われた。登壇したのは、内山氏に加え、ウイングアーク1st 代表取締役社長 内野 弘幸氏、システムインテグレータ 代表取締役社長 梅田 弘之氏、サイボウズ 代表取締役社長 青野 慶久氏、セゾン情報システムズ 常務&テクノベーションセンター長 小野 和俊氏、東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 CMO/CTO 羽田 雅一氏の5名である。

前編では、パネルディスカッション前半で語られたMIJSのこれまでの活動や、10年を経て生まれた葛藤、そしてJAPAN Tech Valleyプロジェクトの誕生までについてお届けした。本稿では、後半で語られたJAPAN Tech Valleyプロジェクトに対するMIJS常務理事たちの率直な想いと、意気込みについてレポートする。

JAPAN Tech Valleyプロジェクト、常務理事たちの率直な感想は?

東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 CMO/CTO 羽田 雅一氏

東洋ビジネスエンジニアリング 常務取締役 CMO/CTO 羽田 雅一氏

「自分がここまで来られたのはMIJSがあってからこそ。そんなMIJSで、まだやりたいことがある」とJAPAN Tech Valleyプロジェクトを構想した内山氏。それでは、氏のプロジェクト構想を聞いた他の常務理事たちは当初、何を思ったのだろうか。

「これは面白いかもしれないな、と。今、日々のビジネスのなかで、ソフトウェアだけでは解決しない時代になってきたことを実感しています。これまではベンダーと顧客という関係だったのが、時には両社が一緒に新しいものを作って提案したりしているんですね。そんな変化を目の当たりにしているなかでプロジェクトの構想を聞き、ソフトウェアベンダーだけではない、新しい出会いが期待できるのではないかと思いました」(羽田氏)

これまでのMIJSは”ソフトウェアベンダーの団体”という定義だったが、羽田氏のようにJAPAN Tech Valleyプロジェクトによって新しい風が入ることに期待する声は多い。

小野氏も「素直に、感性レベルでいいなと思いました」と続く。氏は、かつてサン・マイクロシステムズに勤務していた時代にシリコンバレーで開発に携わった経験を持つ。

セゾン情報システムズ 常務&テクノベーションセンター長 小野 和俊氏

セゾン情報システムズ 常務&テクノベーションセンター長 小野 和俊氏

「日本人はシリコンバレーに対して萎縮しすぎなところがあります。確かにトップクラスの人たちの技術力はすごいですが、だからと言って日本の技術力が大きく劣っているとは思いません。謙虚なのは日本人の美徳ですが、勝てないと思い過ぎなところがあります。JAPAN Tech Valleyのような構想の下、企業が成長するためのエコシステムが整ってくれば、日本が前進するきっかけになるなと感じました」(小野氏)

今でこそ、すべての常務理事が賛同するJAPAN Tech Valleyプロジェクトだが、初期段階においては青野氏が厳しく意見し、内山氏が落ち込むといったシーンもあったのだという。

当時の思いを問われた青野氏は、「いちばん気になったのが、周りに配慮しすぎて従来のやり方を引きずっているところでした。これまでと全然違うことをやってこそベンチャー企業は楽しいと感じるのに、そういう要素がないとうまくいかないだろうというのを伝えたかったんです。内山さんはきちんと受け止めてくれて、面白い企画になったと思います。でも、そんなに落ち込んでいたとはまったく知りませんでした、すみません」と苦笑する。

「こんなことやっちゃっていいのかなというギリギリのラインで、踏襲しながら改善するようなプランを持っていったのですが、全然おもしろくないと言われて。落ち込みはしましたが、全部壊して変えちゃおうよ、と言われたからこそ今の形が出来上がったので、結果的に良かったと思います」(内山氏)

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