デジタルビジネスで高まる、統合システムへのニーズ

IoT(Internet of Things)やFinTech(Financial+Technology)という言葉に代表されるように、企業システムと顧客との関わり方が大きく変わろうとしている。モノの売買やサービスの提供が、物理的な世界と仮想的な世界との間で入り交じるように繰り広げられ、これまでにない新しいビジネスが次々と立ち上がり始めた。ガートナーでは、こうした世界で起こるビジネスを「デジタルビジネス」と呼び、デジタルビジネス時代に向けて企業自身が変革していく必要性を強く訴えているのは、ご存知のとおりだ。

IT担当者にとって、デジタルビジネスの変化を肌で感じやすいのは、サーバをめぐる状況の変化だろう。仮想化やクラウドの進展とともに、x86サーバがコモディティ・サーバとしてメインストリームとなり、今や日本の総出荷台数に占める割合は95%に上っている。それが今、統合システムへの変容を遂げようとしているのだ。

ガートナー ジャパン リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ シニア アナリスト 青山浩子氏

ガートナー ジャパン リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ シニア アナリスト 青山浩子氏

ガートナーの調査によると、サーバの出荷台数は明確に減少傾向にある。特に、メインフレーム、ItaniumやUnixサーバといったハイエンド・サーバの落ち込みは顕著で、それを補うほどにはx86サーバは売れていない。ハイエンド・サーバからコモディティ・サーバへの移行の動きが進む一方、仮想化による台数集約などの影響で、企業やデータセンター事業者による調達の数自体が減ってきたことが背景にある。

だが、停滞感があるわけではない。IT担当者にもおなじみになりつつあるが、ばらばらなコモディティ・サーバを置き換えるかのように台頭してきたのが、統合システムだ。ガートナージャパン リサーチ部門 ITインフラストラクチャ&セキュリティ担当シニア アナリストの青山浩子氏は、次のように説明する。

「統合システムは、サーバ、ストレージ、ネットワークのインフラストラクチャを組み合わせて、リソースのプロビジョニングと管理を容易にする管理ソフトウェアと共に販売されるシステムのことを指します。コンバージド・インフラやエンジニアド・システムなどと呼ばれ、各社がさまざまな製品を提供するようになりました。デジタルビジネスでは、システムに要求されるスピードがますます早くなり、変化に柔軟に対応できることや高い拡張性を持つことが求められます。そうしたニーズに対応できるのが統合システムというわけです」

>> ガートナーの調査結果に見る、統合システムへの「期待」と「迷い」