Nimble Storage Japan合同会社は3月2日、同社製ストレージの新製品群「Nimble Storage AFシリーズ」を発表した。
AFシリーズは、Nimble Storageが初めて提供するオールフラッシュストレージ。従来製品のアダプティブ(ハイブリッド)ストレージ「Nimble Storage CFシリーズ」と同じNimble OSを搭載している。SSDに3D V-NANDを採用したほか、AFシリーズとCFシリーズを混合したクラスタ環境を構築できるなどの特徴がある。
新製品の詳細は別の記事を参照していただくとして、本稿では、発表会でのこぼれ話として、メモリ効率に関する他社製品との比較や、同社が提供する、可用性を高めるためのSaaS「InfoSight」についてご紹介しよう。
他社製品で82Uが、Nimbleでは12U
今回の発表会で特に印象に残ったのが、以下のスライドである。
上記は、「有効容量2PBのストレージをオールフラッシュ製品で構築する」という前提で、必要になる筐体を視覚的に示したものだ。他社製品が55~82Uになるのに対して、AFシリーズであれば12Uで済むのだという。
ここまでの差が生じるのには、3D-NANDの採用をはじめとして、いくつか理由があるのだが、Nimble Storage Japanの川端氏によると、最も大きいのは搭載メモリ容量を抑えられること。他社製品に比べて、10分の1から30分の1で動作するという。
「なぜメモリ容量が少なくて済むのかと言えば、Nimble OS独自のファイルシステム『CASL(Cache Accelerated Sequential Layout)』により、アプリケーションの書き込みサイズに応じた可変長ブロックを割り当てる仕組みになっているためです。データが細切れにならないため、メタデータが少なくて済む。その結果、必要になるメモリ容量も抑えることができます。他社製品の場合、大容量のメモリが必要になりますし、メモリ容量が頭打ちになってコントローラの追加が必要になるというケースも多いようです」(川端氏)
川端氏は、DRAMはSSDに比べると価格の下落ペースが遅いということもあり、メモリ容量の削減はコストに直接跳ね返る重要な要因だと付け加え、次のように続ける。
「Nimble Storageは、米Data Domainと米NetAppの役員が創設した企業。手前味噌で恐縮ですが、ストレージのプロが開発しただけあって、Nimble OSは非常に優れたストレージOSだと思います」(川端氏)
なお、インパクトの強かった先ほどのスライドだが、ちょっとしたからくりがあることも川端氏は明かす。
「実のところ、先ほどのスライドは2PBで試算していましたが、2PBという数値は、AFシリーズ最上位モデル『AF 9000』の単体での有効容量に合わせたものです。2PBのストレージを初めから依頼されるケースはそうないですし、そもそも上で挙げた他社さんは、クラスタ構成も含めた最大容量が2PBに至らないものもありますので、少しずるいスライドかもしれませんね」
AF 9000は最大4台までスケールアウト可能。最大有効容量は、8.2PBにまで上るという。
故障発生から4時間で代替パーツをお届け - 故障の予兆もできる「InfoSight」
米Nimble StorageでHead of Product Manager(プロダクト責任者)を務めるガヴィン・コーエン氏 |
もう1つ、発表会で強調されたのが、同社が提供するSaaS「InfoSight」である。
InfoSightは、Nimble Storageの内部に搭載された各種センサーのデータを集約し、自動解析したうえで、アラートを上げるサービス。全世界の導入企業7500社のデータを分析しており、故障の予兆があれば"Predictive(予言的)"に顧客に通知する。
また、障害が起きればセンサーデータからすぐに察知し、Nimble Storageのオペレーターに通知される。それを見た担当者は、顧客に電話などで知らせたうえで、代替パーツなどを即座に配送するという。最上位の保守サポートを契約している企業ならば、障害検知から4時間で受け取ることができる。
発表会に登壇したHead of Product Manager(プロダクト責任者)のガヴィン・コーエン氏によると、InfoSightの効果もあって、Nimble Storageは、99.9997%の可用性を実現。ユーザーよりも早く問題を検知できるケースがほとんどで、その割合は10件中9件に及ぶという。
なお、InfoSightに関連したエピソードとしてコーエン氏は、「分析の結果、約95%のお客様は、フラッシュストレージ10%構成のハイブリッドストレージで問題ないことがわかっています」と説明。そのうえで、AFシリーズに関しては、顧客のニーズや運用状況を見ながら、どこまでの高速化が必要なのかを判断し、提案していくことになると明かした。