ロボットが人間を超える時、企業に求められるアクションとは?
モノのインターネット(IoT)やスマートマシン、ビッグデータなどのテクノロジーは、今後デジタルビジネスを拡大していくとともに、社会そのものを大きく変えていくと目されている。
そうしたなか、ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀忠明氏は、10月28日から30日にかけてヒルトン東京お台場で開催された「Gartner Symposium/ITxpo 2015」最終日のセッション『ガートナーの重要な展望:未来は「デジタルなモノ」に』に登壇。これからのテクノロジーがビジネスと社会に何をもたらすのか、そして企業はどうアクションすべきなのかについて、最も重要性の高い予測を明らかにした。
ガートナー リサーチ バイス プレジデント 兼 最上級アナリストの亦賀忠明氏 |
セッションの冒頭で亦賀氏は、誰もが考えるべきこととして、「『ロボ」の台頭」、「Nexus(結節)の進化」、「スマートスタート」の3つのテーマを挙げた。
このうち1つ目に関しては、SFのような話が段々と現実になりつつあり、やがてロボットが人間を超えるかもしれないという未来を迎えるにあたって、企業はロボットを自社の労働力として取り入れるかどうかを考える必要があるとした。
2つ目については、現状はまだバラバラな状態にあるクラウド、モバイル、ビッグデータ、ソーシャルなどが融合したとき、ビジネスや社会にどのようなインパクトを与えるのか考慮することの重要性を説き、3つ目では、新たなアクションをどこで起こすのか、他に惑わされずに判断することが大切だとした。
「デジタルメッシュや高度な機械学習を実践するスマートマシン、IoTアーキテクチャのプラットフォームなど、多くの人々にとってまだまだ未知なものが待ち構えているのがITの世界における新たな現実である」と亦賀氏は言う。
そしてこうしたテクノロジーの進化は、人とマシンの関係も大きく変えていくと見られている。これまでの協調的な関係から相互依存的な関係へと変わり、その後さらには競合的な関係へと移行する可能性もあるのである。
未来を先取りする10の展望
続いて亦賀氏は、ガートナーが重要な予測として掲げる10の展望を解説していった。
[展望1] 2018年までにビジネスコンテンツの20%はマシンが作成するようになる
人間の手によるライティング無しに、マシンが自動的にコンテンツを作成するようなソリューションは既に海外では普及が進んでいる。今後の短期的なアクションとしては、CIOはそうした”ロボ・ライティングソリューション”の導入を前向きに検討することが求められるのである。
「マシンが大量のビジネスコンテンツを創りだすようになる。そのコンテンツは、個々の人間がそれぞれ求める内容に合わせたパーソナーライズされたものとなるだろう」と亦賀氏はコメントした。
[展望2] 2018年までにサポートをリクエストするコネクテッド・シング(オンライン化されたモノ)は60億に達する
2021年には、世界で1時間当たり100万台もの新規IoTデバイスが購入されるようになると予想される。そうしたデバイスの中には、例えば心臓のペースメーカーのように万一故障すれば一大事となるものも存在するだろう。そこで、そうしたクリティカルデバイスが壊れる前に兆候を察知し、デバイスが人間に修理を依頼するようになる未来が想定されるのである。
「「モノ」を単なる機械ではなく、サービス対象たる顧客とみなすようになっていくことだろう。人とマシンの「相互依存関係」は、有益なものとなり得るのだ」(亦賀氏)