前回は、Active Directoryにサイトとサブネットを作成する際の手順について解説した。今回はその続きで、サイトリンク(以前はサイト間リンクと呼んでいたもの)の作成と、サイトやサブネットも含めた設定の変更・削除について解説する。

サイトリンクの作成と設定

まず、サイトリンクの作成について解説する。既定の状態では「DEFAULTIPSITELINK」(Default IP site linkの意)という名前のサイトリンクだけが存在しているが、ドメインコントローラ同士の同期頻度に差をつけるのであれば、対応するサイトリンクを追加しなければならない。というのは、同期の頻度指定はサイトリンクに対して設定するものだからだ。

サイトリンクを作成する際に、どのサイトとどのサイトの間で使用するかを指定する。最低2個のサイトを対象とするが、3個以上のサイトにまたがる設定も可能だ。

サイトリンクの作成・設定手順は以下のようになる。

  1. [Active Directoryサイトとサービス]管理ツールを起動する。

  2. 左側のツリー画面で[Active Directoryサイトとサービス]-[Sites]-[Inter-Site Transports]-[IP]を選択してから、[操作]-[新しいサイトリンク]、または右クリックして[新しいサイトリンク]を選択する。

  3. まず、サイトリンクの作成を指示する

  4. 続いて表示するダイアログで、サイトリンクの名前と、対象になるサイトを選択して[OK]をクリックする。

  5. 「2.」~「3.」の操作を繰り返して、必要な数だけサイトリンクを作成する。

  6. サイトリンクの名前と、対象となるサイトを指定する

  7. 左側のツリー画面で[Active Directoryサイトとサービス]-[Sites]-[Inter-Site Transports]-[IP]を選択すると、画面右側にはサイトリンクの一覧が現れる。その一覧でサイトリンクをダブルクリックして、プロパティ画面を表示させる。
  8. サイトリンクを追加したところ(選択中のもの)

  9. 続いて表示するダイアログで、サイトリンクの対象サイトや、同期のタイミングに関する設定を行う。まず、[レプリケートの間隔]で、サイトリンクを通じてドメインコントローラ同士が情報を同期する間隔を指定する。既定値は180分(3時間)だが、任意の値に変更できる。
  10. 作成したサイトリンクのプロパティ画面で、コストと複製間隔、対象となるサイトを指定する。レプリケートの間隔とは別に、特定の時間帯に同期を行わない(あるいは、特定の時間にだけ同期を行う)ようにする設定も可能

  11. [スケジュールの変更]をクリックすると表示するダイアログでは、[レプリケートの間隔]で指定した間隔とは別に、複製を行う曜日や時間帯を指定できる。たとえば、特定の曜日、あるいは特定の時間帯に多くのWANトラフィックが発生すると分かっている場合に、その時間帯だけ同期を行わないように設定できる。

  12. 同一サイト間に複数のサイトリンクを設定する場合、[コスト]の設定も必要になる。これについては後述する。

  13. すべての項目を設定したら、[OK]をクリックしてダイアログを閉じる。

  14. 「2.」~「9.」の作業を、すべてのサイトリンクに対して繰り返す。

サイトリンクのコスト

前項で出てきた「コスト」とは、サイトリンクに設定するパラメータで、任意の数値で指定する。サイト間に複数のサイトリンクを割り当てた場合、通常はコストの値が小さい方を使用して、それが使えなくなったときに他方のサイトリンクを使用する仕組みだ。

だから、常用する回線に対応するサイトリンクはコストの数字を小さく、予備の回線に対応するサイトリンクはコストの数字を大きくすればよい。最初に設計図を書いて、サイトリンクごとにコストの値を決めておくと良いだろう。

サイト・サブネット・サイトリンクの設定変更

前回に取り上げたサイトとサブネット、それと今回に取り上げたサイトリンクはいずれも、同じ要領で設定の確認・変更を行える。

それには、[Active Directoryサイトとサービス]管理ツール左側のツリー画面で目的のオブジェクトを表示・選択した上で、[操作]-[プロパティ]、あるいは右クリックして[プロパティ]を選択すると表示するダイアログを使う。

サイトで変更できる項目は、説明文、サブネット、場所の説明ぐらいだ。

サイトリンクで変更できる項目は、対象となるサイト、レプリケートの間隔、コスト、スケジュールだ。その際に使用する画面は、サイトリンク作成時と同じである。

サブネットで変更できる項目は説明文とサイトの選択だけで、ネットワークアドレスは変更できない。そのため、ネットワーク構成の変更によってネットワークアドレスが変化した場合には、既存のサブネットを削除して作り直す必要がある。

サブネットのプロパティ画面。説明文とサイトの選択は変更可能だが、ネットワークアドレスは変更できない

サイト・サブネット・サイトリンクの名前変更と削除

名前の変更については、右クリックメニュー、あるいは[操作]メニューを使う。

また、ネットワーク構成変更などの事情によって、それまで使用していたサイト、サブネット、サイトリンクのいずれかが不要になった場合には、削除できる。

削除の手順は対象にかかわらず同一で、[Active Directoryサイトとサービス]管理ツール左側のツリー画面で目的のオブジェクトを表示・選択した上で、[操作]-[削除]、あるいは右クリックして[削除]を選択すればよい。続いて表示する確認メッセージで[はい]をクリックすると、削除を実行する。

名前の変更や削除は、右クリックメニューによって行える