ここまでしばらく、フォルダ共有と、それに関連する機能について取り上げてきた。続いて、プリンタ共有の話についても取り上げておこう。といってもWindowsサーバの場合、プリンタの共有に関して難しいことは多くない。デスクトップ版Windowsと同じ要領でプリンタのインストールや共有を行える。また、共有したプリンタを利用する際の手順も同じだ。
プリンタの導入と共有の設定
WindowsサーバでもクライアントPC用のWindowsと同様に、USBコネクタに接続したプリンタについては自動的に存在を認識して、デバイスドライバの組み込みを行う。もしもWindowsがデバイスドライバを持っていなければ、メーカーが提供するドライバを入手して組み込む必要がある。
USB以外のインタフェース(パラレル、RS-232C、ネットワーク接続)では、プリンタの機種選択を手作業で行わなければならない場合もある。その場合でも、接続に使用するポートの指定さえ間違えなければ、自動的に機種を認識してデバイスドライバを組み込んでくれる場合が大半を占めるはずだ。
従来と同様、Windows Server 2012でも、プリンタを新規に認識してデバイスドライバをインストールする際に、ウィザードの中でプリンタを共有するかどうかを訊いてくる仕組みになっている。そこで「共有する」と指示すれば、プリンタのインストールと共有を一度に実現できてしまい、手間いらずだ。
こうして共有したプリンタは、LAN上の他のコンピュータからは「\<サーバ名>\<共有名>」という名前で接続する。共有名の既定値はプリンタの名前を機械的に縮めたものを自動設定するが、それでは往々にして長ったらしくなってしまう。そのため、手作業で共有名を指定する方が良いだろう。
そのときに、機種や所在地が分かるような名前をつけるのも一案だ。つまり、「\<サーバ名>\3F-850i」とすれば、ビルの「3F」にある「850i」というプリンタだな、と見当をつけやすい。
このほか、プリンタを共有する際に、プリンタの場所とコメントを設定することもできる。この設定は必須ではないが、プリンタを検索する際に利用できる利点がある。また、この情報はActive Directoryに共有プリンタを登録する際にも利用するようになっている。
ローカルプリンタとネットワークプリンタを手作業で追加
特に企業向けのプリンタでは、プリンタ自身がネットワーク接続用のインタフェースを備えている場合がある。昔はプロトコルにDLC(Data Link Control)を用いるケースがあったが、現在はTCP/IPベースが主流だろう。また、さらに共有機能まで備えており、別個にプリンタ共有用のサーバを用意しなくても済むようにしている製品もある。
ただ、前回の本連載でも述べたように、Windowsサーバで共有プリンタを束ねることにもそれなりの意味はあると思われる。その場合、Windowsサーバにプリンタをインストールして、出力先としてプリンタ自身の共有機能を指定する形になる。
その際の手順は基本的にローカルプリンタを手作業で追加する場合と同じなので、ここでまとめて解説する。
[コントロールパネル]の[ハードウェア]以下にある、[プリンターの追加]をクリックする。
すると、プリンタの自動検出を開始する。まだ組み込み作業を行っていないプリンタを発見すると、それを一覧に表示するので、[次へ]をクリックして続行する。
プリンタの自動検出ができなかった場合には、[探しているプリンターはこの一覧にはありません]をクリックして続行する。
- 次の画面でプリンタを直接指定するよう求めてくる。その際の選択肢は以下の通りである。
- 手作業で追加する場合、この後はプリンタの接続手段に関する情報の指定になる。[ローカルプリンターまたはネットワークプリンターを手動設定で追加する]を例にとると、プリンタを接続しているポートを指定する画面を表示する。
- 続いて、プリンタの機種判定とプリンタドライバの組み込みを行う。Windowsがデバイスドライバを持っているプリンタなら一覧から選択できるが、一覧にない機種は[ディスク使用]をクリックしてメーカー提供のドライバディスクを使うか、[Windows Update]をクリックしてWindows Updateサーバを検索する必要がある。
- ローカルプリンタの場合、次の画面で機種名を指定する。既定値ではデバイスドライバの機種名を流用するが、変更も可能だ。
- 次の画面で、共有の有無を指定する。共有名の既定値は、全画面で指定した機種名だが、変更も可能だ。
- 最後の画面で、通常使うプリンタにするかどうかの指定や、テスト印刷といった作業を行って、プリンタのインストールを完了する。
・Windowsファイル共有を使用しているネットワーク接続型プリンタであれば、[共有プリンターを名前で選択する]を選択してから、プリンタ自身の共有名(UNCパス)を入力して続行する。
・TCP/IPを利用するネットワークプリンタを追加する場合、[TCP/IPアドレスまたはホスト名を使ってプリンターを追加する]を選択して続行する
・Bluetooth接続のプリンタを追加する場合、[Bluetooth、ワイヤレス、またはネットワーク検出可能プリンターを追加する]を選択して続行する
・USBインタフェースを使用しておらず、自動検出できなかったローカルプリンタの場合、[ローカルプリンターまたはネットワークプリンターを手動設定で追加する]を選択して続行する
既存のプリンタの共有と共有解除
なお、組み込みの際に共有を指示しなかったプリンタ、あるいは操作ミスや手違いで共有の指示をし損なったプリンタについて、後から共有の指定を行うこともできる。同じ画面で、共有を解除することもできる理屈だ。
追加済みのプリンタに関する設定の変更は、[コントロールパネル]の[ハードウェア]以下にある[デバイスとプリンター]を使用する。そこで、すでに組み込んであるプリンタについて共有を設定したり、解除したりする際の手順は、以下のようになる。
[コントロールパネル]の[ハードウェア]以下にある[デバイスとプリンター]をクリックする。
続いて表示する画面のプリンタ一覧で、共有、あるいは共有解除するプリンタを選択してから、右クリックメニューにある[プリンターのプロパティ]を選択する。(同じ右クリックメニューにある[プロパティ]は共有設定と無関係なので、間違わないように注意したい)
- 続いて表示するダイアログの[共有]タブで、[このプリンターを共有する]チェックボックスをオンにする。さらに、[共有名]で共有名を指定する。逆に[このプリンターを共有する]チェックボックスをオフにすると、共有を解除する操作になる。
Active Directoryに参加しているWindowsサーバの場合、[ディレクトリの一覧に表示する]あるいは[ディレクトリに表示する]チェックボックスをオンにして、設定中の共有プリンタに関する情報をActive Directoryに登録することもできる。必須ではないが、共有プリンタをActive Directoryのオブジェクトとして検索対象にできるため、検索性を高められる利点はある。
最後に[OK]をクリックしてダイアログを閉じると、共有、あるいは共有解除を行う。
共有の有無は[共有]タブで指定する。Active Directoryに参加しているサーバであればActive Directoryへの登録も一緒に行えるが、画面の例ではActive Directoryは無関係 |