第24~25回目でフォルダ共有について取り上げたが、実は[ファイルサービスおよびiSCSIサービス]の役割を導入した状態では、[サーバーマネージャー]からウィザード形式で共有設定を行うこともできる。この部分がWindows Server 2012になって大きく変化しているので、今回はそれについて取り上げよう。
実のところ、単に共有してアクセス権を設定するだけであれば、第24~25回目で解説した手順の方が簡単かつ迅速であり、わざわざウィザードを使用する必然性は薄い。ここで解説するウィザードが役に立つのは、クォータをはじめとするアクセス権以外の設定項目について、漏れのないように設定しておきたい場面といえる。
Windows Server 2012における変化点
[サーバーマネージャー]左側のツリー画面で[ファイルサービスと記憶域サービス]→[共有]とツリーを展開・選択すると、その右側に、現時点で共有しているフォルダの一覧が現れる。その状態で[タスク]-[新しい共有]を選択すると、ウィザード形式で共有フォルダを設定できる。
この方法のメリットは、共有対象となるフォルダのパス・共有名・アクセス権だけでなく、さらにいろいろな項目の設定をまとめて行える点にある。そしてWindows Server 2012では、「共有のプロファイル」と題して複数の選択肢を用意した上で、選択したプロファイルによって、共有に使用するプロトコル(Windowsファイル共有用のSMBに加えてNFSの選択が可能)や、併せて設定する項目の内容を変えている。
[サーバーマネージャー]で共有を設定する際の選択肢と設定内容
それぞれの内容の違いについて、個別に手順を記述していると冗長になりすぎるので、共有のプロファイルごとに設定する内容を一覧表にしてみた。ただし、NFSを使用する共有(NFS共有-簡易とNFS共有-高度)については対象から除いている。
SMB共有-簡易 | SMB共有-高度 | SMB共有-アプリケーション |
---|---|---|
共有対象の指定 | 共有対象の指定 | 共有対象の指定 |
共有名と説明の指定 | 共有名と説明の指定 | 共有名と説明の指定 |
共有設定の構成 | 共有設定の構成 | 共有設定の構成 |
アクセス許可の構成 | アクセス許可の構成 | アクセス許可の構成 |
確認画面 | フォルダー管理プロパティの選択 | 確認画面 |
クォータの設定 | ||
確認画面 |
選択肢ごとに異なる、ウィザードの設定項目一覧
共有対象の指定や共有名の指定については、特に難しいことはないだろう。
[共有設定の構成]では、以下のチェックボックスがある。
アクセス許可設定に基づいた列挙を有効にする:このチェックボックスをオンにすると、ユーザーがアクセスできるファイルとフォルダだけを表示するようになる。[SMB共有-アプリケーション]では利用不可
共有のキャッシュを許可する:このチェックボックスをオンにすると、オフラインキャッシュ機能を利用可能にする[SMB共有-アプリケーション]では利用不可
ファイル共有のBranchCacheを有効にする:このチェックボックスをオンにすると、ブランチキャッシュ機能が有効になる[SMB共有-アプリケーション]では利用不可
データアクセスの暗号化:このチェックボックスをオンにすると、共有フォルダにアクセスする際の通信を暗号化する
[アクセス許可の構成]は、共有アクセス権・NTFSアクセス権・集約型アクセスポリシーをひとまとめにして扱い、トータルでアクセスの可否について指定するもの。既定値が「Everyone - 読み取り専用]になっているのは通常の共有設定と同じで、[アクセス許可をカスタマイズする]をクリックすると、設定のカスタマイズが可能。
その際に表示するダイアログは以下のもので、タブを切り替えて、NTFSアクセス権も共有アクセス権も同じダイアログで設定する。
[SMB共有-高度]では、フォルダー管理プロパティの選択が加わる。[ユーザーファイル][グループファイル][アプリケーションファイル][バック圧婦およびアーカイブファイル]と4種類のチェックボックスがあり、ここで選択した内容はデータ管理ポリシーの動作に影響する。
[SMB共有-高度]では、クォータの設定も加わる。ここでいうクォータとは、ファイルサーバーリソースマネージャー(FSRM)が提供する「フォルダ単位で容量を制限するクォータ」で、既存のクォータテンプレートの中から選んで適用する(カスタム設定不可)。