STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは、4月18日~20日にかけて千葉県・幕張メッセで開催されているメカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する展示会「TECHNO-FRONTIER 2018」にて、現在同社が注力しているスマートインダストリの実現に向けたさまざまなソリューションの展示を行っている。
ブースは大きく「センシング」「パワー」「モータ」の3つに分けられており、センシングソリューションとしては、国内初公開となる「超音波検査による高圧管のガス漏れ検知ソリューション」や、「Industry 4.0対応振動解析用リファレンスデザイン」などのデモが行われている。
ガス漏れ検知ソリューションは、同社のSTM32マイコンと、MEMSマイクを組み合わせたもので、MEMSマイクを用いて、高圧ガスなどを流す配管などに開いた微小な穴からガスが漏れ出る際の音を拾い上げ、どこからガスが漏れているかを安価に調べることを可能にするというもの。ガス漏れをすると、特定の周波数で音が出るわけではないが、同社のMEMSマイクであれば、広範な周波数に対応しており、ディープラーニングなどと組み合わせることで、この周波数帯のこの程度の騒音はガス漏れである、といったことをアラートとして出す、といったこともシステムとしては可能になるという。
一方の振動解析用リファレンスデザインは、いわゆる故障予測(予防メンテナンス)に向けたソリューションで、加速度センサを使ってモータから生じる振動を計測することで、その変化などを学習することで、故障が起こる可能性などを判断することの実現を目指したものとなっている。リファレンスデザインであるため、ハードウェアはもとより、振動モニタリング用のソフトウェアもセットで提供され、システムの開発に円滑に移行することを可能としている。
2つ目のパワーソリューションのコーナーとしては、海外では普及しつつあるデジタル電源の開発を可能とするソリューションなどが紹介されている。中でもSTM32マイコンと、セミデジタル制御IC「STNRGPF01」を組み合わせたデジタル制御電源評価ボードは、「3kWデジタルPFC評価ボード」と「3kWフルデジタルDC-DC電源評価ボード」の2種類が用意されており、PFC電源では98%以上の効率、0.99以上の力率を実現しているほか、DC-DC電源もピーク効率95.3%を実現できるものとなっている。また、ファームウェアはフルオープンで提供されるため、ユーザーはそれを用いて開発を加速させることが可能。さらに、STNRGPF01は、同社のeDesignSuiteオンライン設計ツールのGUIを使用することで、シミュレーションを実行し、バイナリコードとして出力するといったことも可能だという。
そして3つ目のモータソリューションのコーナーでは、7mm×7mmのQFNパッケージにSTM32マイコンと3.3Vスイッチングレギュレータ、12V LDOリニアレギュレータ、ゲートドライバ用制御ロジック、3FG出力デコーディングロジック、オペアンプ、ハーフブリッジゲートドライバ、過電流コンパレータといったブラシレスDCモータ(BLDC)に必要な外付け部品を集積した「STSPINモータドライバIC」のデモが行われている。そこ小型パッケージという特性を生かしたドローン用のモジュールの開発も進められており、今年中に製品として提供される予定だという。
ブースでのデモもドローンのロータに用いられるモータの制御を高いレスポンスで実現できることを確認できるものとなっており、同社では「(搭載されているSTM32は)汎用マイコンであるため、モータ制御以外のコントロールも可能」と説明しており、そうした応用範囲の広さなどをアピールしていきたいとしていた。