ロームは、4月18日~20日にかけて千葉県・幕張メッセで開催されているメカトロニクス・エレクトロニクス分野の要素技術と製品設計を支援する展示会「TECHNO-FRONTIER 2018」にて、ステッピングモータシステムの評価を安価に実現できるツールの展示を行っている。

従来、同社のモータドライバICとモータを組み合わせたシステムの評価を行うためには、その出力波形などを調べるためのオシロスコープをはじめ、ファンクションジェネレータ、各種電源などを用意して、それらを正確に接続する必要があり、手間とコスト、そしてセッティングの時間など、さまざまな労力をかける必要があった。現在、同社が開発を進めていうステッピングモータシステム評価用ツール「RAGU」は、そうした手間をできるだけ簡略化し、かつ低コストで、それを実現することを目指したもの。

ドライバICが搭載された評価ボードと接続されるRAGUメインボード1枚と、それとUSBで接続可能なPCだけあれば、オシロスコープやファンクションジェネレータ、各種の電源などを用意しなくても、モータ制御をPC上で実行することができる。また、オプションとして機能拡張ボードも用意しており、これをメインボードに挿すことで、オシロスコープの波形表示なども追加することができるようになる。

  • RAGUメインボードと、ドライバIC評価ボード、ステッピングモータによるデモの様子
  • RAGUメインボードと機能拡張ボード
  • PC上に表示されたRAGUツールの画面
  • RAGUメインボード(メインボードに縦に挿さっているのが機能拡張ボード)と、ドライバIC評価ボード、ステッピングモータによるデモの様子。PCとRAGUは接続されており、PC上でオシロスコープの波形などを表示することが可能となる

現在は開発中ということもありアーリーアダプタ向けにのみ、提供をしているとのことだが、2018年の夏ごろには製品化したいとしている。また、第1弾としてはステッピングモータシステム向けだが、BLDCなどほかのモータシステムにも将来的には対応をしていきたいとしており、ユーザーの開発速度の向上を支援していきたいとしている。

このほか、同社はフォーミュラEのVenturi Automobilesとパートナーシップを組んでおり、2017年-18年シーズンの同チームに提供しているSiC製品搭載インバータや、ニチコンが開発した新型小型リチウムイオン2次電池と組み合わせることで、高レートの急速充放電を可能とする昇降圧充電制御IC「BD99954MWV」の紹介なども行われている。

  • フォーミュラE向けSiC製品搭載インバータ
  • 6インチのSiCウェハ
  • フォーミュラEで用いられているSiC製品搭載インバータ。左が2年前のシーズンのもの、右が今シーズンのもの。だいぶ小型化が進んでいることがわかる