前回は、会社でExchange Serverを導入することになり、鈴木一郎君がTechNet OnlineでExchange ServerのTechCenterにアクセスしてみるところまでを取り上げた。今回は、Exchange Serverを扱う管理者のために、TechNet Onlineがどんな情報源を用意しているかについて見ていこう。

TechNetライブラリって何だ?

これまでの鈴木一郎君の経験だと、TechNet OnlineではWord文書の形でさまざまなドキュメントをダウンロードできるようになっていることが多かった。そこで、Exchange ServerのTechCenterで、ライブラリ「Exchange Server 2007」というリンクをクリックしてみた。きっと、さまざまな内容のWord文書へのリンクがまとめられているのだろう。

と思ってアクセスしてみたら、どうも勝手が違う。なんだかWindowsヘルプのような画面が出てきた。左側にツリー画面があり、「+」をクリックすると展開、「-」をクリックすると折り畳まれるようになっている。それぞれのツリーの下にある見出しをクリックすると、画面の右側に解説文が表示される。まるでWindowsのヘルプ画面みたいだ。

「Exchange Server 2007」のリンクをクリックすると…

Word文書へのリンク集があるわけではなく、Windowsヘルプ風の画面が現れる。これがTechNetライブラリだ

実は、これは「TechNetライブラリ」の下に用意されている、「Microsoft Exchange Server 2007ライブラリ」のコンテンツだ。Exchange Serverだけでなく、他の製品についても同じ体裁のライブラリが用意されていて、Webサイトを通じて公開する形をとっている。

Exchange Server 2007のライブラリを例にとると、「お使いになる前に」「計画とアーキテクチャ」「展開」「操作」「トラブルシューティング」「セキュリティと保護」「テクニカルリファレンス」「開発」といったカテゴリ別に情報がまとめられている。さらに、それぞれのカテゴリごとに細分化されたコンテンツがあり、画面左側のツリーを展開して見出しをクリックすると、画面右側に解説を表示するようになっている。

Windowsヘルプと同様、左側のツリー画面を展開して目的の記事見出しを捜してクリックする。すると、画面右側に該当する記事が現れる

サブスクリプションを申し込むとライブラリが送られてくる

つまり、TechNetライブラリとは、Windowsヘルプと同じ要領で利用できる技術文書の集合体というわけだ。常にインターネットに高速回線で接続できる環境であれば、オンラインで無償公開されているTechNetライブラリにいつでもアクセスできるので、それがあれば事足りる。しかも、コンテンツはサーバ側に置かれているから、内容の更新があっても、それをユーザー側が意識する必要がない利点もある。

しかし、データセンターに缶詰になっている、インターネット接続回線がない、モバイルインターネット接続サービスのエリア外になっている(または利用できても速度が遅い)、飛行機や新幹線で移動中、といった具合に、インターネット接続回線の存在を前提にできない場面は少なくない。

そんなときには、TechNet Plus サブスクリプションを申し込むとディスクキットの形で送られてくる、「TechNetライブラリ」が役に立つ。こちらはWebサイトに置かれているわけではなく、手元のハードディスクにインストールして参照するものだ。だから、インターネット接続回線の有無やスピードには影響されず、いつでもどこでも利用できる。サーバルームに缶詰になって、インターネットに接続できない状況でも参照できないのはありがたい。

ただし、ディスクキットがないTechNet Plus Directサブスクリプションでは、当然ながらTechNetライブラリの送付もないので、勘違いしないように注意したい。

TechNetライブラリのメイン画面。これはWeb版だが、TechNet Plus サブスクリプションを申し込むと、ローカルのハードディスクにインストールできるライブラリも入手できる

MSDNにも同様のライブラリがある

実は、TechNet Onlineだけでなく、開発者向けサイトのMSDN Onlineにも、同様にMSDNライブラリがあり、さまざまな技術情報、サンプルコードなどの情報を参照できるようになっている。MSDNサブスクリプションを申し込むと、MSDNライブラリがDVD-ROMで送られてくる点も同様だ。

また、MSDNライブラリの特徴として、開発ツールであるVisual Studioと統合化されている点が挙げられる。つまり、Visual Studioを使って開発作業を行っている際に、技術情報を参照する目的でMSDNライブラリを参照する必要が生じたときには、Visual Studioから直接、MSDNライブラリの内容を調べられるというわけだ。

以前に取り上げたIISでも、あるいはExchange ServerやOfficeなどの製品でも、企業の業務に使用する際には、何らかの開発作業を必要とする場合が少なくない。そうなるとVisual Studioにも出番が出てくるので、開発者向けの技術情報を提供するMSDN Online、あるいはMSDNライブラリといったリソースの存在を知っておくと、役に立つ可能性がありそうだ。

実際、MSDN OnlineにはExchange Serverのユーザーを対象として、開発者向けの情報を提供するコーナーが用意されている。本連載の主題はTechNet Onlineだが、開発作業を伴う場合にはMSDN Onlineにも目を向けてみたい。

何らかの開発作業を伴う場合、MSDN Onlineにも目を向けてみたい。これはExchange Server向けだが、IISとASP.NETの組み合わせでもMSDNは有用だ