過去2回にわたって取り上げてきたコンテンツを活用することで、IIS 7の導入・運用・管理に関する情報はかなり集積できるはずだ。ところが、(なにもIISに限ったことではないが)字面だけ見て「どういう風に操作すればよいか」が分かったつもりになっていても、実際に現物を相手にすると分からなくなってしまうこともある。
そこで今週は、「TechNet Online」を特徴づけるコンテンツのひとつである、バーチャルラボを取り上げてみよう。
現物がなければバーチャルラボがあるさ
「…というわけで、Windows Server 2008にIIS 7の役割と、関連する機能を追加した上でアプリケーションを導入するところまでは把握できました。ただ、まだ資料を読んでみただけなので、現物は動かしていないんですが」
「確かになあ。コンピュータというのは何でもそうだけれども、説明書だけ読んで分かったつもりになっていても、いざ現物を相手にして操作する段になると、戸惑ってしまうことがあるんだよなあ。そうだ、「TechNet Online」にいいものがあるから試してみるといい」
ということで、ランチのときに先輩に教えてもらった「TechNet Online」の秘密兵器。それが、「バーチャルラボ」だ。
「バーチャルラボ? 今やっているのは仮想化の話じゃないですよ?」
「こら、そういう意味じゃない。「バーチャルラボ」を使うと、Webブラウザの画面に管理ツールの画面なんかが出てきて、本物を操作するのと同じ要領で操作を体感できるんだ。たとえば、"IISの管理ツールを使って、これこれこういう操作をする" といった具合に、いろいろなシナリオに沿ったバーチャルラボが用意してある。これを使えば、本物のWindowsサーバがなくてもWindowsサーバの操作を体験できるというわけだ。Windows Live IDがあれば試せるからやってみるといい」
なるほど、IIS TechCenterの画面左下に「バーチャルラボ」という表示がある。それをクリックして、バーチャルラボの一覧にたどり着いた。
TechNet Onlineでは、分野ごとにさまざまなバーチャルラボが用意されている。といっても、製品によって内容の多寡が異なるし、日本語版がない場合もある。幸い、IISの場合には比較的多くのバーチャルラボが日本語化された状態で提供されているので、いろいろ試してみることができそうだ。
ただし、バーチャルラボは基本的に使い方を学ぶためのものであり、本物のPCで本物のWindowsサーバを動作させるわけではないから、パフォーマンスの検証みたいな使い方はできない。最初から環境はできあがった状態で提供されるため、環境構築の学習にも向いていない。
バーチャルラボの使い方
バーチャルラボで注意しなければならないのは、シナリオは個別に決められていて、好き勝手に操作できるわけではない点だ。だから、自分が使い方などについて知りたい機能に対応するバーチャルラボが用意されていなければ、バーチャルラボの出番はなくなってしまう。
また、それぞれのシナリオごとに所要時間の目安が定められているので、たとえば「所要時間60分」とあれば、それだけの空き時間を確保してから使うようにしたい。時間切れになって、途中で中断させられたのでは面白くないだろう。
以下に示す動作要件さえ満たしていれば、本物のPCも、あるいはVirtual PCやVirtual Serverがなくても、マイクロソフトのサーバ製品や開発環境を体験できる。現時点で、Windows VistaやWindows 7は対象外になっている点に注意したい。
バーチャルラボの利用に必要な環境
OS:Windows 2000、Windows XP、Windows Server 2003
Webブラウザ:Internet Explorer 6.0、ないしはそれ以上
Webブラウザ設定:Cookieを有効にする。バーチャルラボ用のActiveXコントロールが必要
画面解像度:1024×768ドット以上を推奨
キーボード:日本語キーボード
ネットワーク:宛先ポート番号443(HTTPSと同じ)が利用可能になっていること
バーチャルラボを利用する際の概略の手順は、以下のようになる。
手順1 :
Windows Live IDを用意する。すでに、MSN MessengerやWindows Messenger、Hotmailを使うために取得したIDがあれば、それをそのまま使える。かつての.NET Passport IDもそのまま利用できるはずだ。まだWindows Live IDを取得していなければ、「Windows Live IDホーム」にアクセスして、メールアドレスとパスワードを指定してサインアップしておく。
手順2 :
コースを選んでトレーニングマニュアルをダウンロードする
手順3 :
バーチャルラボのコース一覧から、自分が使いたいコースを選ぶ。タイトルの下に、トレーニングマニュアルをダウンロードするためのリンクがあるので、それをクリックしてファイルをダウンロード。バーチャルラボ内のWindowsにログオンする際に使用するパスワードなどの情報は、このトレーニングマニュアルに書いてある。だから、必ず目を通しておかなければならない。
手順4 :
バーチャルラボにイベント登録する。 トレーニングマニュアルをダウンロードしたら、コース名をクリックする。続いて表示する画面で[イベントの登録]をクリックすればよい。
手順5 :
サインイン : 続いて表示する画面で、Windows Live IDを使ってサインインする。初めて使用するWindows Live IDを指定してサインインした場合、この後で個人情報の登録画面になる。内容を入力、あるいは確認したら、右下にある「登録」をクリックする。
手順6 :
初めてバーチャルラボを利用するWebブラウザでは、ActiveXコントロールのインストールが必要になる。
手順7 :
バーチャルラボの起動後は、トレーニングマニュアルの内容に従って学習を進めればよい。なお、終了後にフィードバックを送信するようになっている。
ちなみに、Windowsサーバのログオン画面では[Ctrl]+[Alt]+[Del]キーを押さなければならないが、バーチャルラボではこのキー操作を使えないため、代わりに左上の「アクション」メニューを使う等の注意点がある。
このバーチャルラボを活用すれば、実際にWindowsサーバを導入していない段階でも、基本的な操作についてシミュレートできるというわけだ。