前回はSystem Centerを構成する製品群の特徴について説明しましたが、今回は性能とイベントの監視を行う「Microsoft System Center Operations Manager(SCOM)」の構成から監視対象サーバの検出、エージェントのインストールまで説明していきます。

SCOMはシステム規模や要件に合わせた構成が可能

SCOMはそれぞれの役割を持つ以下のコンポーネントを持ち、「管理グループ」と呼ばれる基本的な単位で構成されています。

コンポーネント 役割
管理サーバ 管理グループの構成の管理、エージェントの管理と通信、および管理グループ内に存在するデータベースとの通信を行う
オペレーション コンソール 監視の設定や管理パックのインポート、作成、およびレポートの作成などの操作を行うためのGUIベースの管理コンソール
Webコンソール 主に監視を行うためのWebベースの管理コンソール(※追加オプション)
オペレーション データベース 管理グループ内の構成情報、オペレーション情報といったさまざまな情報を保存するSQLデータベース
データウェアハウス データベース オペレーション情報を履歴目的で長期間保存するSQLデータベース
レポートサーバ データウェアハウスDBに格納された情報をもとにレポートの作成、表示を行う(※追加オプション)
ゲートウェイサーバ 他拠点に存在するコンピュータ と管理サーバ間通信の中継を行う(※追加オプション)
ACSサーバ 監査ポリシーによって生成されたイベントをセキュリティログとして収集、データベースに保存する(※追加オプション)
ACSデータベース セキュリティログを保存するSQLデータベース(※追加オプション)
エージェント 監視を行うコンピュータ にインストールすることで、サービスやログの監視、およびパフォーマンス情報などのさまざまなデータの収集を行う

これらのコンポーネントを1つのサーバにまとめることも、以下の図のように複数のサーバを用いて構成することも可能であるため、システム規模や要件に合わせた構成で構築することができます。

複数サーバを用いたSCOMの構成

なお、Technet内の記事「System Center 2012 R2 Operations Manager 用の環境の準備」System Centerテクニカル リソース内に評価ガイドが公開されていますので、検証目的でSCOMを実際にインストールし、動作を確認する場合は参考にするとよいでしょう。

SCOMの2種類の監視方法

SCOMの監視には、対象のコンピュータ にエージェントをインストールして監視する方法 (エージェント監視) と、エージェントを使用せずに監視する方法 (エージェントレス監視) の2種類があります。

エージェント監視とエージェントレス監視の選択

エージェントレス監視はエージェントがインストールできない場合でもSCOMで監視できます。ただし、エージェント監視と比較して、監視サーバにより多くのリソースが必要となります。また、エージェントレス監視において、管理パックで管理可能な項目が動作しない場合があります。以下では、エージェントを用いた監視による方法を紹介します。

監視対象サーバの検出および登録

監視対象サーバの検出はSCOMのオペレーション コンソールの「コンピューターとデバイスの管理ウィザード」から行えます。

検出ウィザードでは、「Windowsコンピューター」以外にも「UNIX/Linuxコンピューター」および「ネットワーク デバイス」を検出、監視対象として登録することが可能となります。

「コンピューターとデバイスの管理ウィザード」画面

検出が完了すると、まだ管理対象となっていないサーバ、コンピュータ が検出され、管理サーバから管理対象のサーバ、コンピュータ に対してエージェントをプッシュ インストールします。なお、プッシュ インストールを行う場合、あらかじめ必要なポートが開放されている必要があります(Technet内記事「System Center 2012 R2 Operations Manager 用の環境の準備」の「ファイアウォール」の項を参照)。

エージェントのプッシュ インストール画面

また、エージェントは管理サーバからのプッシュ インストールのほかに手動でインストールすることができます。

エージェントのインストールが完了すると監視が開始され、オペレーション マネージャ管理画面から状態を監視することが可能となります。また定期的に、監視対象サーバおよびコンピュータ に対して、どの製品や機能、アプリケーションがインストールされているかオブジェクトの検出を行います。

このことにより、管理サーバは検出されたオブジェクトに対する監視情報をエージェントに展開することでサーバ管理者は構成の変更のたびに手動で設定を行う手間を省くことが可能です。

エージェントの管理画面

次回は、システム管理者が監視上発生した問題の解決を支援する製品ナレッジをパッケージした管理パックからSCOMのオペレーション コンソールを用いた監視について説明します。

編集協力:ユニゾン

小賀坂 優(こがさか ゆう)
インターネットイニシアティブ所属。前職にて技術サポート、インフラ基盤のシステム提案・設計・構築を経験した後、2015年7月より Microsoft Azure、Office 365 を中心としたマイクロソフト製品・サービスの導入、および IIJ GIO と組み合わせたハイブリッド クラウド ソリューション展開や開発を担当。
2012年から Microsoft MVP for System Center Cloud and Datacenter Management を連続受賞。
個人ブログ「焦げlog」にて、マイクロソフト製品を中心とした情報やTipsを発信中。