本連載では、日本マイクロソフトの「Microsoft System Center」を用いて、サーバ管理にまつわる手間を低減する方法を解説します。初回となる前回はサーバ管理のポイントを紹介しましたが、今回は、System Centerを構成する製品群の特徴について説明しましょう。なお、本連載では、Microsoft System Center 2012 R2 のバージョンを中心に各製品の機能について説明していきます。

多彩な製品群で構成されるSystem Centerなら管理の一元化が可能

マイクロソフトのサーバ運用管理製品である「System Center」は、モバイル、クライアント、サーバ、Windows/Linux の混在環境、オンプレミス、サービスプロバイダー、Microsoft Azureを含めた、システム基盤全体を一元的に管理します。

本稿執筆時点(2015年9月)で、最新版として「System Center 2012 R2」が提供されており、以下の図に示される8つの製品から構成されています。

Microsoft System Centerの製品群

System Center製品群は1つの製品 (機能) のみで動作させることも可能ですが、各製品を連携させることで、運用管理の自動化および効率化を行い、運用にかかるコストを削減することが可能です。以下が、各製品群の特徴となります。

Operations Manager

Operations Managerは、組織内に構成されたサーバ、クライアント、ネットワーク機器およびアプリケーションの稼働監視を行います。また、障害の検出と通知、分析レポートなどにより、運用業務で発生する負荷を軽減します。

Configuration Manager

Configuration Managerは、システム内に存在するサーバ、コンピュータ、モバイルデバイスといったITリソースに対して効率的な構成、資産管理を行うためのソリューションを提供します。ITリソースの構成情報の収集、アプリケーション、セキュリティ更新プログラムの配布、OSのアップグレードおよび展開を行うことが可能です。

Endpoint Protection

Endpoint Protectionは、マルウェア対策行うためのソリューションを提供します。Configuration Managerクライアントとして動作するクライアント、サーバに対して、定義ファイルの自動配信、および検知状態の確認を実施、管理することが可能です。

Data Protection Manager

Data Protection Managerは、サーバ、クライアント、アプリケーションのデータ保護管理を行うためのソリューションを提供します。保護するデータは、ディスクやテープ、Azure上のストレージへバックアップを行うことが可能、ベアメタル回復といったBCPやディザスタリカバリにも対応。

Virtual Machine Manager

Virtual Machine Managerは、仮想化されたサーバ群で構築されたITシステム基盤を管理するためのソリューションを提供します。プライベートクラウド環境として展開するための仮想化ホスト、ストレージ、ネットワークリソースを構成および管理機能に加え、アプリケーション展開にも対応しています。

Service Manager

Service Managerは、ITILおよびマイクロソフト製品のシステム製品の技術的ガイドであるMOF (Microsoft Operations Framework) をベースとした IT サービス運用、管理ソリューションを提供します。ITサービス運用、管理における構成管理、インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理をサポートします。

Orchestrator

Orchestratorは、ITサービス運用の中で発生するユーザー、グループの作成時に必要なアクセス権やフォルダの設定といった定型的な作業の自動化ソリューションを提供します。

App Controller

App Controllerは、プライベートクラウド (Virtual Machine Manager もしくはWindows Azure Pack) と パブリッククラウド (Microsoft Azure) に対して共通のセルフ サービス環境を提供します。

なお、次期製品となる「System Center 2016」では新しい機能が追加される一方で、削除される製品および機能の一覧がFeatures Removed from System Center Technical Previewで公開されています。

これらは今後変更される可能性がありますが、System Centerによる運用管理基盤の導入を検討中であれば、確認されることをお勧めします。

次回は、Operations Managerを使用したサーバの稼働状況の把握、管理について説明する予定です。

編集協力:ユニゾン

小賀坂 優(こがさか ゆう)
インターネットイニシアティブ所属。前職にて技術サポート、インフラ基盤のシステム提案・設計・構築を経験した後、2015年7月より Microsoft Azure、Office 365 を中心としたマイクロソフト製品・サービスの導入、および IIJ GIO と組み合わせたハイブリッド クラウド ソリューション展開や開発を担当。
2012年から Microsoft MVP for System Center Cloud and Datacenter Management を連続受賞。
個人ブログ「焦げlog」にて、マイクロソフト製品を中心とした情報やTipsを発信中。