本連載では、開発プロセスの中でも重要な位置を占めるテストプロセスに着目し、全体最適を実現させるためのテストプロセスについて考察します。今回は、ソフトウェアテストのトレンドとして、テストの自動化に用いるツールについて紹介します。
ソフトウェアのテスト自動化ツールと一口に言っても、テスト実行を支援するツール、テスト準備を支援するツールなど様々です。「テスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス」(以下、ISTQBシラバス)では、テストの自動化ツールを表1のように分類しています。
今回から数回にわたり、ISTQBシラバスの分類に従ってテストの自動化ツールについて説明します。まずは、テストマネジメント支援ツールにフォーカスします。
テストマネジメント支援ツール
テストケースの実行状況から進捗状況、インシデント(不具合)の状態(インシデントの数、未修正のインシデントの数など)を把握するツールがこの分類に含まれます。利用者はテストをマネジメントするマネージャーやリーダーとなります。
この分類のツールは地味ですが、とても重要です。テストケースやインシデントが管理できていないと、テストが計画通りに行かない時の状況判断が行き当たりばったりになって、大事なテストを漏らすなどの問題が発生します。特に組み込み業界では、1機種のシステムテストのテストケースが数万ケースにも及ぶため、テストマネジメントとしてテストの状況を把握することが工数やテストの品質にインパクトを与えるようになっています。
主要な商用ツールとしては、日本オラクルの「Test Manager for Web Applications(旧エンピレックス「e-Manager Enterprise」)」、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)の「HP TestDirector for Quality Center」などがあります。フリーウェアには、TEF(注1)の有志が日本語化した「TestLink」があります。
注1:Testing Engineer's Forum(テスト技術者交流会)の略。 URLはhttp://www.swtest.jp/。
表1 テストの自動化ツールの分類(「テスト技術者資格制度Foundation Levelシラバス 日本語版」を基に筆者がまとめました)
大分類 |
中分類 |
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テストマネジメント |
テストマネジメントツール |
要件マネジメントツール |
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インシデント管理ツール |
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構成管理ツール |
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静的テスト支援ツール |
レビュー・プロセス支援ツール |
静的解析ツール |
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モデリングツール |
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テスト仕様支援ツール |
テスト設計ツール |
テスト・データ準備ツール |
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テスト実行とロギング |
テスト実行ツール |
テストハーネス |
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ユニットテストフレームワーク |
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テスト比較ツール |
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カバレッジ計測ツール |
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セキュリティツール |
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性能・モニタリング |
動的解析ツール |
性能テスト/ロードテスト/ |
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モニタリングツール |
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特定アプリケーション分野 |
Webアプリ専用性能テストツールなど |
その他のツール |
スプレッドシート、SQL、リソース監視ツールやデバッグツール |
執筆者プロフィール
湯本剛 (Tsuyoshi Yumoto)
株式会社豆蔵 シニアコンサルタント。1991年に製造メーカーに就職し、原価管理、製品管理システム構築プロジェクトに参画。その後ソフトハウスにてパッケージソフト、プリンタドライバ、C/Sシステム、Webシステムなどソフトウェアテスト業務に携わる。現在は豆蔵にてソフトウェアテストのコンサルタントとして活動中。日本科学技術連盟SQiPステアリング委員、JSTQB技術委員、s-open幹事、NPO法人ソフトウェアテスト技術振興協会理事。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。