前回より、RFPを受けて出された提案書の評価をテーマに解説を行っています。今回は、提案書を評価する方法について具体的に説明します。
提案書を評価する方法は、大きく次の2つに分けられます。
集中討議形式
評価者が一堂に介して、すべての提案書を集中的に評価を行う方法です。調達内容が比較的シンプルで、評価者の専門性にあまり依存しなくてよい場合はこの方法が効率的です。
個別評価形式
評価者の専門性に応じて評価領域を分担し、各評価者の評価結果から総合的に評価を行う方法です。評価軸が多岐に渡る場合はこの方法が現実的ですが、最終的には全員で集まって評価の理由について認識のすり合わせをする場合が多いと思います。加えて、同じ評価項目について複数の評価者が採点することがあり、その点でも評価結果について共通認識を得ておくことが大切です。
関係者が共有すべき評価基準
提案書の評価に際しては、評価基準を作成する必要があります。専門性を有しているメンバーがどれほど良識と信念をもって各社の提案を評価したとしても、それぞれの主観が働くことは避けられません。仮に評価領域を分担していたとしても、他の評価者や関係者と評価軸を共有することは、公正な調達を目指す以上、客観性を維持する上で不可欠と言えます。
評価にあたって関係者が共通認識を持つべき評価項目を表1にまとめたので、参考にしてください。
表1 提案書の評価項目の一覧の例
1.経営目標への適合度 |
事業計画 |
2.取り組み姿勢 |
プレゼンテーション、提案書 |
3.提案書の構成 |
形式 |
4.スケジュール |
納品までのスケジュール |
5.遂行能力 |
プロジェクトの管理体制、システム開発の手法、品質管理体制、運用保守体制、実績 |
6.システムオーナーによる評価 |
ソリューション、ユーザビリティ |
7.技術的な評価 |
信頼性・可用性、セキュリティ、性能、拡張性・柔軟性、受け入れ側の実現の可能性、他システムへの影響・インタフェース、移行作業 |
8.コスト |
ライフサイクル全体のコスト、透明性 |
9.法令、社内規定への適合度 |
法令、コンプライアンス |
10.契約 |
瑕疵担保責任、再委託 |
11.取引実績の評価 |
過去履歴、評価 |
『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)』
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