本コラムは、サラリーマン・エンジニアだった筆者がシステム開発会社を起業するまでのお話です。今回は、Webコンテンツプロバイダー方向転換を図ろうとして失敗し、本業のシステム開発へ軸足を戻してからのことについてお伝えしましょう。
ネットビジネスで生じた赤字の影響は大きく、経営は苦しい状況でした。そんな時に救いの風が吹きます。タイミング良く某ベンダーより、生命保険会社のシステム開発を一括受注できたのです。
それは筆者が持つ、ある特定分野の技術経験を必要とする案件でした。当然、筆者自らチームを率いて開発に取り組みました。このシステム開発は成功を収め、その収益で会社は何とか息をつなぐことができました。今考えても、これは本当に運が良かったと思っています。
会社を経営していると、嵐のような逆風が吹く時があれば、凪の海のように穏やかな時もあります。もちろん好運の風が吹く時もあります。筆者もこのような状況を様々な局面で経験してきました。
そして学んだのは、どのような状況でも必ず前へ進む道はあるはずであり、それを見つけるのが経営者の重要な役目であるということです。
人材採用の試行錯誤
システム開発の傍ら、求人・採用活動に本格的に取り組みました。私たちのようなITサービス会社の成長に最も必要なのは、優秀なエンジニアの採用と育成です。
システム開発はどちらかと言えば労働集約型のビジネスであり、抱えているエンジニアの数がそのまま売上・収益に直結します。ですから、数ある経営課題の中でも採用と育成が最重要項目となるのです。
採用については、まず就職情報サイトに掲載する方法をとりました。しかし、設立して間もない零細企業に就職を希望する人はほとんどいません。転職紹介会社にも登録しましたが、やはり結果は同じでした。
そこで、筆者は方法を変えることで、人材を採用できるようになりました。どのような方法を使ったかは、次回お話しましょう。
執筆者プロフィール
雨宮 国和 (Kunikazu Amemiya)
株式会社ウイルワークス・システムズ代表取締役社長。十数年に渡るエンジニア経験を経て2002年に会社を設立。最近はバイクにハマる42歳。Bar好き。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。