女性比率が増えつつあるとはいえ、まだまだ男性社会と言われるITエンジニアの世界。仕事の内容や技術力に男女差はなくても、女性エンジニアには女性特有の悩みが尽きないはず。女性エンジニアの生の声を探るべく、4人の方に集まっていただきました。
最終回となる今回は、男性が多いITの現場で女性として困ったことがなかったかどうか聞いてみました。男性と女性という「違い」は乗り越えられない壁であり、だからこそ、うまく調和していきたいものです。
今回、座談会に協力いただいたのは、次の4人の女性エンジニアの方たちです。皆さん、同じエンジニアといえど、年齢・職種などは異なります。
--これまで「出産」や「育児」について聞かせていただきました。そのほか、ITの現場で働く中で感じている悩みがあれば、聞かせてください--
C子 女性エンジニアに「女」を求めないでほしいと思う時がありますね。だから、私は結婚指輪を外していることが多いのですが、仕事で男性と会う時には必ずしていくことにしています。私が恋愛対象じゃないことが明らかになると、相手の態度が全然違うんですよ。仕事がやりやすくなります(笑)。
D奈 毎年新人の女性と親しくなろうとする男性もいますよね。そのお目当ての女性は恋人でもないのに、他の人と話していると不機嫌になったり(笑)。
C子 また、女性だからって色眼鏡で見られることがあるのがつらいですね。例えば、会議の時、女性が発言をするとなぜか「何で怒ってるの?」と言われるそうです。「普通に話をしているだけなのに、どうしてそんなこと言われるんだろう?」と、こぼしている女性は少なくないです。
B代 そうそう。冷静に話しているのに、ヒステリーを起こしているように言われることがありますね。「まあまあ、落ち着いて」なんてなだめられたり。会議で女性が意見を述べている時、私には普通の意見にしか感じられないのに、周囲の男性陣は「ああ、女性がまたうるさいこと言い出したぞ」とでも言いたげなおかしな雰囲気を感じることもあります。
A美 私は言いにくいことをズバっと言ってしまうので、それがイヤがられるのかなとは思っています。でも、最近はあまり意見を言わないようにしてるかも……。
--そうしたことが原因で、女性の有用な意見が聞けなくなるのはもったいないですね--
C子 会議を行う際、女性を議長にすると進行がスムーズになるという話もあります。男性の意識を変えてほしいという気持ちもあるけれど、男性と女性の役割を上手に分けることができればいいのかもしれませんね。
B代 あと、男性への対応には慣れてきたのですが、女性の部下への接し方には困ることもあります。きつく叱って泣かせちゃったらどうしよう、と心配したり。ほとんどオジサンの悩みですよね。
A美 入社3年目くらいまでの女性は扱いに困ることもあるけど、5年目くらいの女性になると対等に話せるようになって扱いが楽になりますよ。仕事というものがわかってきたかどうかが境目、という感じでしょうか。
C子 確かにエンジニアとして5年以上続いている女性って、見た目はかわいらしくてもどこか根性がありますよね。
--女性でも女性の扱いに悩むことがあるんですね。逆に、仕事をしていてよかったことはありますか?--
D奈 お客様に喜んでもらえるのが最高! いい気分でプロジェクト終了の打ち上げに参加して飲みすぎてしまったこともあるくらいです。
C子 お客様にイヤな顔をされることほどつらいことはないですよね。
B代 「便利になったよ」「ありがとう」と言われるのが嬉しい。
A美 設計がうまくいってお客様が喜んでくれると、この仕事をやっていてよかったと思いますね。
--お客様の笑顔がやりがいなわけですね--
C子 やりがいがのある、好きな仕事だからこそ、できればずっと続けたいと思っています。そのためには、もう少し人間らしい生活ができる業界になってほしいですね。例えば、男女に関係なく、長時間仕事にかかりきりになるという文化がなくなるといいと思います。まあ、その人の特性に合わせて、上司の裁量で在宅ワークなども含めて柔軟な働き方ができるようになるといいですね。
実力のある女性エンジニアが出産後も戻ってきやすいような業界は、きっと男性にとっても働きやすい業界でしょうね。今日はありがとうございました。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)』
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