女性比率が増えつつあるとはいえ、まだまだ男性社会と言われるITエンジニアの世界。仕事の内容や技術力に男女差はなくても、女性エンジニアには女性特有の悩みが尽きないはず。女性エンジニアの生の声を探るべく、4人の方に集まっていただきました。
2回目となる今回は、働く女性にとって最大の悩みとも言える「育児と仕事の両立」についてざっくばらんに話してもらいました。
今回、座談会に協力いただいたのは、次の4人の女性エンジニアの方たちです。皆さん、同じエンジニアといえど、年齢・職種などは異なります。
--育児をしながらの働き方についてはどのようにお考えでしょう?--
B代 他の人と同じように働けなくなる分、経理の知識を付けて他部署とのブリッジになるなど、これまでとは違う形で働けたらと考えています。
C子 私は自分の体力に合った働き方を模索中です。若い頃から在宅ワークに興味がありましたが、日本ではまだまだ難しいですよね。同じ仕事でも、在宅ワークだと賃金が安かったりするし。
D奈 在宅ワークは請負だから、労働基準法が定める最低賃金の規定から外れるんですよ。
--D奈さんは在宅で仕事されていますよね?--
D奈 出産後、インターネットで仕事を探してWebアプリケーションの開発を在宅で始めました。昔のツテを頼らずに始めたので、ブログのパーツを作るなど、最初は小さい仕事ばかりでした。報酬もそれなりで(笑)。でも、とにかく技術書が買うお金を稼ぎたくて!
A美 高いですよね、技術書。
D奈 少しでも自分で稼げば好きな技術書が買えるかなというのが、当初のモチベーションでした。コツコツと請け負った仕事をこなしていくうちに、大きな仕事がもらえるようになりました。
C子 在宅で仕事をしていると、自分の時間がなくなりませんか? 私も在宅で仕事をしているため自分でスケジュールを管理しなければならないのですが、つい仕事を入れてしまうので休みがなかなか取れなくて。
D奈 休みは自分で決めないと。「この仕事が終わったら3日は休もう」と決めてしまうんです。仕事の依頼があってもその期間には絶対に仕事を入れません。フリーでやるなら、自分で管理しないとダメですよ。
一同 なるほど!
A美 出産して職場に復帰した女性に負担がかからないよう、配慮してくれる会社もありますよね。それを受ける人と受けない人がいますが。
B代 平等という言葉にとらわれて頑張りすぎる女性もいるし、頑張ることを強要する男性もいます。特に独身の男性は、家庭がある人の事情がわからないのかなあと思うことがあります。
C子 男性だけじゃないですよ。私の知っている女性でも、育児を理由に労働時間を短縮することに否定的な人がいました。ところが、思いがけず自分に子供ができたら、コロっと変わってしまって(笑)。今では、労働時間の短縮制度を利用している女性エンジニアに、家庭の事情で早退していることを顧客に知られないようにした方がいいといった指導までしているそうです。
D奈 私も子供がいることは取引先に言っていません。余計な心配をさせますから。
A美 子供が小さいうちは重要なポストにつかないようにしてもらっているという女性の話も聞きますね。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.6(2008年9月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。