今回は、某ソフトウェア会社で育児休暇後のスムーズな復職のためにのSEとして働くA子さん(29歳)を例に、育児休暇後にどうすればスムースに復職できるかについて考えてみましょう。

A子さんは会社の中でも周囲から頼られる存在です。彼女は1年前に出産を経験し、所属部署で初の産休・育休取得者となりました。そして、元の職場で働き始めたA子さんですが、やはり、育児をしながらの勤務は苦労の連続……。

そうした中、上司のBさんがA子さんを呼び出してこう言いました。「育児と仕事の両立は大変だろうから、忙しい開発の現場から離れられるよう手配していたんだけど、今日人事部から正式に異動が決定したという連絡があったよ。これでラクになるね」

さて、この時のA子さんの本音は次のうちのどれだと思いますか?

上記の質問をeパウダ~のメンバーにしたところ、最も多かった回答は選択肢(3)でした。選択肢(2)を選んだ人の多くも「(3)と(2)で悩みましたが(2)にしました」とコメントしており、回答の大多数が選択肢(3)だったと言えます。

そして、選択肢(3)を選んだ人の多くは「上司の配慮に感謝しつつも、開発の仕事が好きだから続けたい」と言う気持ちが強いようです。

筆者が知っている"育児休暇後に職場復帰している女性"たちは、皆さんとても謙虚です。会社から与えられた仕事はこなしていながらも、復職前と同じペースで自分の能力が発揮できていないことに罪悪感を持っているのでしょうか。

「早くちゃんと仕事ができるようにならないと」とか「全然会社に貢献できていなくて」といった言葉を口にされるのです。加えて、そうした方たちのほとんどが「上司や同僚のおかげでここまで来られた」と感謝の気持ちを忘れていないのも印象的です。

執筆者プロフィール

藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方について日々模索中。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.5(2008年7月発刊)
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。