前回、某ソフトウェアメーカーでSEとして働く27歳のA子さんを例に、女性エンジニアの出産休暇と育児休暇について、筆者がどのように考えているかについてお話しました。今回は、男性の育児休暇と出産休暇と育児休暇を取得する女性エンジニアの意見を紹介します。
男性の育児休暇について
女性の育児休暇への関心もさることながら、最近は男性の育児休暇への関心も高まっているようです。実際、本誌の取材でお邪魔した日本ヒューレット・パッカードさんでは、「産休・育休取得に関する説明会を2007年末に社内で初めて開催したら、参加者の半数は男性だった……」なんてお話もあるくらいですから。
「本当は奥さんの代わりに育児休暇を取りたいんだけど、男性が育児休暇を取った前例がなくて……」 という話も時々耳にするようになりました。実際に筆者の周囲にも、夫婦共働きで夫が家事や育児を担当している家庭があります。
子供を育てていくことは女性だけの仕事ではないですし、家族全員が子育てに積極的になるのは素晴らしいことですよね。女性も男性も自分が無理せず続けられることを選択してお互いに支え合えればと思います。でも、結局会社の理解と協力がなければダメなんですよね。
まとめ
もし今これを読んでいるあなたが「出産の不安なんてわからないなぁ」と思うのであれば、自分が「大きな手術を受けなければならない」状況を考えてみてください。「絶対大丈夫!!」と言い切れますか? 出産への不安やつわりなどによる体調不良を抱えながら復帰を希望する女性たちを企業や社会がもっと支えてくれたら、今以上に出産を選択する女性が増えるでしょう。
それには"育児をしながら働く"というスタイルを、言葉だけではなく「文化」としてもっと根付かせる必要があります。このことは、結果として女性だけでなく男性にとっても働きやすい職場を増やすことにつながり、優秀な人材を確保するための必須条件にもなっていくはずだと思います。
女性技術者の生の声
産休を取ったことがないのですが、1年も休んだらコロコロ変化するシステムについていけるのかしら……と不安になります。【30代プログラマー、とも】
産休を最大限に使っても、しっかり復帰できると思います。【20代プログラマー、まるこ】
実際にその時になってみないとわかりませんが、パートナー次第かと。その時の仕事の状況にもよりますよね。【30代SE、ひろ】
現在、第2子の出産後の育児休職中。1人目の子どもがママが家にいることに慣れてしまい、可哀想で職場復帰に抵抗があります。時間を減らしての復帰を希望していますが、それが可能かどうか不安です。【30代プログラマー、TM】
家庭の環境、夫の理解度にもよりますね。昼間子供を預けるところが見つからなければ休暇を延長することになると思いますし、子供にとって何がベストかをまず考えないといけないような気がします。【40代SE、KR】
時間が経つにつれ選択肢すべてに該当する気持ちの変化があったようにも思います。精神が不安定になるからこそ、生活の基盤を支える会社からのフォローが重要になってくるんでしょうね。【30代プログラマー、AK】
執筆者プロフィール
藤城さつき(Satsuki Fujishiro)株式会社タンジェリン代表取締役。
コンピュータ関連業界で働く女性のためのコミュニティ「eパウダ~」を運営。男性が多いこの業界における女性の人間関係・働き方・生き方について日々模索中。
『出典:システム開発ジャーナル Vol.4(2008年5月発刊)』
本稿は原稿執筆時点での内容に基づいているため、現在の状況とは異なる場合があります。ご了承ください。