米司法省がAppleを反トラスト法違反の疑いで提訴した。同省は、Appleが"囲い込まれた庭"に消費者をロックインしていると非難しているが、その主張に対する消費者の反応は分かれている。しかし、内容はどうあれ、司法省が提訴に踏み切ったことのインパクトは大きい。→過去の「シリコンバレー101」の回はこちらを参照。
他のメーカーに乗り換えにくくなる「ロックイン効果」
一眼レフカメラのマウントはメーカーごとに異なり、例えばニコンのカメラのレンズをキヤノンのカメラに使うことはできない。一眼レフを長く使っているとそれを受け入れるようになるが、一眼レフを初めて使うとき、多くの人が「なぜ同じマウントですべてのレンズを使えるようにしないんだろう?」と疑問に思う。
マウントが異なる理由は、技術的な要件と商業的戦略に基づいている。マウントはカメラ本体とレンズの間の物理的および電子的な接続を提供し、レンズとカメラ本体間の通信、オートフォーカスの実現方法、撮影画像の安定化などに影響する。マウントを独自開発することでメーカーごとの設計思想や技術、仕様を製品により反映でき、製品の競争力を高められる。
一方で、独自のマウントシステムを持つことは、メーカーにとってレンズやアクセサリーの市場を独占しやすくする商業的戦略でもある。ユーザーが所有する特定メーカーのレンズが増えるほどに、他のメーカーのカメラに乗り換えにくくなる。「ロックイン効果」が発生する。