米国証券取引委員会がAIウォッシングで訴えていた金融投資2社と和解合意した。2社は合計40万ドルの罰金を支払う。生成AIに対する過度な期待がAIウォッシングの増加に現れており、ピークを過ぎた後に訪れる"幻滅の谷"の深刻化に対する懸念が強まっている。→過去の「シリコンバレー101」の回はこちらを参照。

広がる「AIウォッシング」

SEC(米国証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー委員長のスピーチで「AIウォッシング(AI Washing)」という言葉を聞いた時、「洗濯しているロボット」を想像して思わず笑ってしまった。

“○○ウォッシング”という言葉は元々、白い塗料で塗りつぶす「ホワイトウォッシング」が「事実を隠す」や「実態よりもよく見せる」という意味で使われるようになり、次第に文化的または歴史的なコンテキスト、特にエンターテインメント業界において、人種や民族の多様性を無視したり、軽視する行為にも使われるようになった。

具体的には、非白人キャラクターを白人俳優が演じたり、または物語や歴史的事実が白人中心の視点で書き換えられることが含まれる。他にも、企業や組織が実態の伴わないのに環境配慮を売りにする「グリーンウォッシング」、LGBTQ+に関する場合の「ピンクウォッシング」など、さまざまな○○ウォッシングが存在する。

  • DALL-Eが作成した「AIウォッシング」の風刺イラスト

    DALL-Eが作成した「AIウォッシング」の風刺イラスト

「AIウォッシング」とは、企業や組織が自身の製品やサービスがAI技術によって優れたものであるように誇張する行為を指す。近年、「AIを使用して〜」というフレーズが製品発表や宣伝において珍しくなくなった。

しかし、どの技術をどのように使用し、それがどのように機能して、どんなソリューションを実現するのかが明確に伝わってこない場合があり、「AI=素晴らしい」という単純な宣伝にモヤっとした気分になることがある。

企業としては、AIに触れないことが時代遅れと見なされがちである一方で、AIは注目されるキーワードであるため、些細な事柄でも強調してしまう。しかし、そこは慎重にならなければならない。誇大宣伝がすぎるとSECがやってくるのだ。

生成AIの問題に対する不満が「幻滅の谷」に集約

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