Apple Watch、Basis Peak、Fitbit Charge HR、Microsoft Band、Moto 360、Moov、Withings Activité Pop――これらはこの1年半で使ってきたバンド型のウェアラブルデバイスだ。すべて自腹。使うために入手したものばかりなので、気に入らなかった製品や筆者の必要を満たせなかった製品はすぐに売却した。

スマートウォッチ

  • Apple Watch: 今あるスマートウォッチの中では完成度が高く、ほぼ毎日使用中。ただ、存在感があるため常に装着し続けるのは断念。着脱しやすいミラネーゼループをバンドに、スマートウォッチが必要な時にはめるというスタイルで落ち着いている。

  • Moto 360(初代): 発表された時はAndroid Wear端末の完成形と期待したものの、スマートウォッチとして物足りない端末だった。例えば、スピーカーを廃して通知はバイブレーションのみという思い切りの良い設計だが、個人的にはスマートウォッチにはスピーカーが欲しいと思った。液晶ディスプレイはきれいだが、消費電力が大きい。今選ぶなら、Android Wearの時計・情報の常にオン機能をより活用できるLEDディスプレイ搭載製品を選ぶと思う。物足りなさはAndroid Wearの問題ではなく、Moto 360がAndroid Wearの良さを引き出し切れていないという印象。すでに売却。

  • Microsoft Band: ウェアラブルのデザインは身に着けた時の見た目が大事というのを実感した製品。ディスプレイが長すぎて不格好。またバンド部分が太く、バンドではなく「ブレスレットみたい」と言われてしまう。ソフトとサービスは安定しているので、カーブしたディスプレイになると噂の第2世代に期待。すでに売却。

どんなシチュエーションやファッションにも対応できるApple Watch

Moto 360、丸型スマートウォッチの草分け的存在だったが……

装着すると"はめている感"が強いMicrosoft Band

手の内側にディスプレイを向けてはめたほうが使いやすい

フィットネストラッカー

  • Basis Peak: 開発しているBasis Scienceは、昨年3月にIntelに買収された。利用者の動き、心拍数や睡眠の計測が正確。大きなディスプレイはタッチ操作が可能で、表示情報の切り替えもスムーズ。残念なことにアプリやサービスのトラブルが多く、せっかくのハードウエアがプラットフォームとして生きていない。すでに売却。

  • Fitbit Charge HR: 装着感が快適で、常に身に着けていても苦にならない。心拍数の計測に対応、着けて寝るだけで睡眠時間がちゃんと記録されるなど、機能も充実している。小さなディスプレイを備えていて、スマートフォンの着信通知にも対応する。バランスの良い製品だが、AppleのHealthやGoogle Fitに公式対応していない。現在も使用中。

  • Moov: ディスプレイのないメダル型の小型デバイスで、ジョギング/ランニング、7分ワークアウト、バイク、水泳、ボクササイズなどワークアウト専用。パーソナルトレーナー役のモバイルアプリと共に使用する。アクティビティではなくトレーニング用という絞り込みで成功している製品であり、米Amazon.comでの高い評価もうなずける。秋発売予定の第2世代製品を予約済み。

  • Withings Activité Pop: Swatchの腕時計のようなデザインのアクティビティトラッカー。睡眠の自動計測も可能。薄くて軽く、液晶ディスプレイではないので、ボタン型電池で約8カ月の使用が可能。設定した目標の達成度などすべて針で表示する。情報量は少ないが、アナログな表示は見ていて楽しい。一時はApple Watchよりも気に入って常にはめていたが、メールやメッセージ、通話もサポートする多機能なApple Watchが手首を奪い返した。すでに売却済み。

見た目はごついが軽くてジョギングなどで使いやすいBasis Peak

アクティビティトラッカーとしての機能と、長時間装着していられるデザインのバランスに優れたFitbit Charge HR

ジョギング/ランニング時には足に、7分ワークアウトやボクササイズでは手首に装着、モバイルアプリのトレーナーの指示に従ってトレーニングするMoov

スマートフォンとBluetoothで接続し、時間の自動調整やデータのやりとりを行うWithings Activité Pop、小さい文字盤は目標達成度

ジョギング/ランニングを記録するNike+をウエアラブルと呼んでもよいなら、私のウェアラブル歴は2006年からだ。Nike+はシューズにレシーバを付けておくだけ。あとは、それまでと同じようにiPod(今はiPhoneで)で音楽を聴きながら走ると、自動的に走った距離やペースが記録され、さまざまな角度から分析できる。記録に努める必要がなく、本当に便利だと思った。それ以来、ジョギング/ランニングの記録は続いている。もうすぐ10年だ。

筆者の場合、最初にNike+で記録を取る面白さを覚えたから、今もいろいろとウェアラブルを試し続けられているのだと思う。これが違うデバイスから入っていたら、逆にウェアラブル嫌いになっていたかもしれない。根がものぐさなのだ。

例えば、一昔前に購入したリストバンド型活動量計は睡眠を記録できる機種だったが、寝る時にスリープモードに手動で切り替え、起きた時にはその逆をしなければならなかった。「長続きしなさそう……」と思いつつ、スリープトラッキングに興味があったので挑戦してみたら、早くも3日目でモード切り替えを忘れて熟睡。切り替え忘れた分は手動で入力できたが、1週間後にはそれすら面倒になっていた。

そんな一手間をいとわず、きちんと記録を取り続けられる人もいると思うが、ユーザーが努力しなくても記録できるようにならないとウェアラブルの普及は望めないと思う。実際、Fitbit Charge HRやBasis Peak、Withings Activité Popは、手首にはめて寝るだけで自動的に睡眠が記録される。これらだと筆者のようなものぐさでも短い昼寝までしっかり記録できる。

生活やアクティビティのログがバンド型ウエアラブルのすべてではないが、今日のバンド型ウェアラブルでは重要な使い方である。一口にウェアラブルといっても、使い勝手はさまざま々だ。せっかくウェアラブルに関心を持ったのに、記録に手間がかかるデバイスや、データ分析力が乏しいアプリに最初に当たってしまって、データを取る面白さに気づけないままウェアラブルから遠ざかる人も少なくないと思う。

それが去年の後半や今年前半に比べて、最近ウェアラブルの話題が盛り上がらない原因の1つではないかという気がする。

次回は、筆者が現在どのようにバンド型ウェアラブルを使っているか紹介しよう。