これまで、製品設計の分野では設計の業務効率化をテーマにさまざまな改善策、ツール導入が施され、作業効率の向上に成功している企業が多数存在します。しかし、設計業務が効率化されていく中、実際に製品が製造される際の製造コストに配慮した設計が行われている企業は多くありません。

製造コストは使用する材料や、適用される加工方法などにより異なりますが、設計でコストへの配慮が成されていない場合、試作品作成や実験など、実際に製品を作成するまでコストが特定できないことになります。そのため、たとえ高コストの加工が必要になることがわかっても、設計の後工程では効果的な修正が難しく、高コストの部品も結局そのまま製品化されてしまう危険性が考えられます。

効率的に製品製造時にコストを抑えた設計を行うには、設計初期段階でコストに配慮した設計を行うことが重要になります。

製造のノウハウが必要になる製造コストへの配慮

製造コストへ配慮した設計を行う場合、設計者が実製品の製造方法、加工プロセスを把握している必要があります。「○○形状を作成するには□□加工が必要になる」というように、設計形状に必要となる加工方法が予想でき、かつその加工にコストがどれ位かかるのかを判断できる、製造のノウハウや幅広い知識が必要になります。

こうした判断は製造現場に精通したベテラン設計者であれば問題はないかもしれませんが、製造の知識・経験の乏しい若手設計者などでは設計した形状から必要となる加工方法やそのコストを予想することは難しい問題になります。そのため、設計者の知識・技術だけでは高コストのかかる設計を事前に把握・修正する、製造コストを配慮した設計は難しいのが現状です。

「Costing」でだれでも簡単、自動コスト見積り

SOLIDWORKSに搭載されている「Costing」機能では3次元モデルから製造に必要なコスト見積りを行うことが可能になります。 SOLIDWORKSの部品モデルに対してコマンドを実行し、タスクパネル上でテンプレートの指定、材料の選択などの設定を定義するだけで製造コストの計算を自動で行います。「機械加工部品」、「板金部品」のコスト評価に対応し、部品形状に応じて加工部位ごとにフィーチャー認識して部品製造に要する加工時間、コストを算出します。

製造ノウハウや加工に関する知識を必要とせず、部品モデリングを行いながら製造コストの評価ができるため、設計初期段階でだれでも簡単に設計形状の製造コストを把握することが可能になります。

・「Costing」のメリット

  • 設計を行いながらCAD上で部品の製造コストの見積りが可能。
  • 製造ノウハウを知らなくともコストの把握が可能。

部品を製造した際のコストをCAD上で自動で見積り

CAD上でコスト計算しながら製造コストに配慮した設計を実現

部品への形状変更や設定の変更情報は即座に「Costing」の計算結果に反映されるため、リアルタイムに部品のコストを把握することができ、同時に変更の前後でコスト増減を正確に比較することができます。これにより部品に加えた設計変更がコストに与える影響を把握しながら検討を進めることができるため、容易に製造コストを配慮した設計を行うことができます。

また、事前に企業・グループ・委託先など、異なる条件に合わせてテンプレートを作成しておくことで、用途に合わせたコスト計算にも瞬時に対応可能です。

・その他各種機能で効果的な利用ができる
その他、「Costing」の設定や加工内容などの詳細情報を記載したレポート作成や、アセンブリでの「アセンブリの可視化」機能を用いた構成部品のコスト表示など、算出した情報を幅広く活用することができ、作業効率の向上に役立てることが可能です。

アセンブリの可視化

レポート作成

テンプレート作成

(本稿はCAD Japan.comより提供を受けた記事を編集したものです。)